宮侑に告白したと思ったら治の方だった。[2]

ふきげん。 ページ20

「いや私が何かしたっていうか……」

『やっぱお前に原因あるんやんけほんまふざけんな！どんだけ俺がとばっちり食らってると思』
『侑うるさい、原因聞くのが先』
『やっぱりAが原因やってんなぁ……』


角名くんの辛辣なツッコミの後に続いた声は、多分尾白先輩？どうやら不機嫌治くんの被害者たちが集まって私に電話を掛けてきたらしい。

治くんは侑くん以外には基本的に人当たりがいいし、元がおっとりしているのもあって機嫌をあからさまに損ねることはほとんど無い。八つ当たりとなると侑くん以外に選択肢が無いのだろうと思うと、流石に侑くんに申し訳なくなってしまう……プリンを取らなきゃいい話だとも思うけど。

という訳で、仕方なく被害者の皆さんに事のあらましを説明すると、聞き終えた侑くんが「っっっしょーーもな！！」と向こうで叫んだ。すみませんねしょうもなくて。


『ほな俺お前の幼馴染のせいでボコボコにされとんのか！？納得いかなさ過ぎるやろその幼馴染の家燃やしとけ！！』

「私が放火魔になっても解決はしないでしょ……」

『うっさいねんええからちゅーでもセッ××でもなんでもサービスしてとっととアレの機嫌直せや！！』

「なっ……」


あまりの最低な言い回しに言葉も出てこなくなったが、すかさず角名くんが「歪みのないクズ発言」と突っ込んだのでまだ報われた。続けて銀島くんが「女子に向けて言ってええ言葉と良くない言葉があるやろ侑！」と電話口の向こうで叱ってくれた。尾白先輩も怒ってくれたが侑くんは多分全然反省してない。どれだけ治くんに八つ当たりをされたのか想像に足るが、それが自分のせいだと思うと侑くんを叱るような元気もなくなった。


「……すみません。取り敢えず明日会って話して直接謝ります。侑くん、巻き込んでごめんね」

『まったくやで！金剛力士像とひとつ屋根の下で暮らしとる俺の身にもなれ！』

「東大寺暮らし気分になれそうだね」


東大寺は兵庫じゃなくて奈良だけど。

でも、なんやかんや笑い事というか、軽い冗談ぽくしてくれている辺り、侑くんはまったく優しくない訳じゃないのだと思う。

取り敢えず明日侑くんにお詫びとして多めにお土産をあげようと、電話を切ってから東京土産を買い足すのだった

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