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ピンク色の外壁と、キッチンカーのような様相、可愛らしい店の雰囲気と張り出された沢山のメニューにどぎまぎする。なんて、なんて可愛いんだろう。女の子が夢中になる筈だ。こんな、夢みたいなお店。
「なに頼むのー?」
「あ……」
お店に見とれているばかりで、何を頼むかなんて決めていなかったところ、三つ編みのお兄さんに顔を覗き込まれて現実に引き戻された。そうだ、注文しなきゃ……
「えっと、どうしよ……」
「いつも何食べてんの?」
「あ、初めてで……私、クレープ食べたことないんです」
「えッ、今どきそんな子居るの」
「……親に、添加物の含むものと高カロリー過ぎるものは食べないように言われてて」
「……フーン?」
すると彼はお店の店員さんに「オネーサン、イチゴチョコクレープちょーだい♡」と注文した。このお兄さんもクレープ食べるんだ……甘いもの好きなのかな。
「クレープ、食べられるんですか?」
「ン?きみの分だよ」
「えっ!?」
「イチゴチョコって顔に書いてあった」
そう言って平然とブランド物の財布からお金を出すお兄さんの腕を「い、いけません!」と止めた。
「え、ナニー?いちごの気分じゃなかった?」
「ち、違います!私がお金出しますから!初対面の方にお金を払わせるなんてッ、」
「なにそれ、クレープも奢れない男、ってオレに恥かかせんの?いい度胸してんね」
「へ?いや、そういうつもりじゃ……」
「はい、オネーサンこれお金ね。おつりいいや〜オネーサンにあげる」
待って待って、私の話を聞いて!さっき初めて会ったような殿方にお金を払わせただなんて知ったら、父も母も泡を吹いて倒れてしまうことだろう。いや、1人で六本木に来たというだけでも多分泡を吹いて倒れるだろうからこの1件は絶対に言えないけど、それとは関係なくひたすら申し訳ない!例え数百円だとしても!
「なんて顔してんの?金なんてどうでもいいからさ、クレープできるところでも見てれば?」
「え……」
そう言った彼の言葉にはっとして顔を上げると、屋台の向こうで可愛らしいお姉さんがクレープ生地を鉄板の上に丸く広げているのが目に入る。ぺらぺらのそれを器用に別皿へ移し、たっぷりのクリームとスライスのいちごが乗せられ、チョコソースがふりかけられ、最後にくるくると巻かれ、赤いチェック模様の紙に包装され、小さなスプーンが挿さると……
「はーい、おまたせしました!イチゴチョコクレープです!」
夢にまで見たかわいらしい食べ物が、そこにあった
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名無 - 神すぎる。占ツクでここまで完成度の高い作品は久々に見ました。 (2022年2月13日 13時) (レス) @page25 id: 918f2226ec (このIDを非表示/違反報告)
桜妃(プロフ) - 作者様語彙力ありすぎでは…!?更新楽しみにしてます! (2021年9月6日 3時) (レス) id: 16f20e3b96 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴ子(プロフ) - はじめまして…こんなに作品に引き込まれたのは初めてです;;主様のペースで更新楽しみにしております! (2021年8月26日 12時) (レス) id: de92cbd6b8 (このIDを非表示/違反報告)
しいい - すごく好きです!続き楽しみにしてます!! (2021年8月26日 1時) (レス) id: 69df95b685 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 大っ好きです!蘭ちゃん…可愛すぎる…更新楽しみにしてます\(//∇//)\応援してます! (2021年8月25日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子@さぶ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2021年6月30日 23時