＊ ページ28
『フーン、初めて、ね』
なんとはなしに、蘭さんの声が高くなったような気がした。元々低い部類の声ではないけれど、ワントーン上がったような気がしたのだ。
『馬鹿になんか、してねーよ。そんで、服だけど……ま、適当でいいよ。あのいかにもお嬢様って感じの制服以外なら』
「ま、まさか。制服なんてさすがに、着ません」
『えらいね』
「……」
やっぱり、どこか馬鹿にされているような気がする。明日一緒に出掛けるというのも、もしかするとからかわれているのかしら。家を出ても、彼が迎えに来てこなかったらどうしよう。こんな時間に、何処かは知らないけれど、遊び歩いている方だもの。やっぱり私とは、住む世界が全然違うのよね……
『服装が適当でいいっていう理由は、明日とりあえずオレについて来たら分かるから』
「え？……どういう意味ですか？」
『だから明日分かるって』
まあ任せといて、などと言われてしまえば、はあ……と了承せざるを得ない。適当って、その適当が分からないから電話をかけたのだけれど。
とりあえず、そこまで気張った服を着て来いという訳ではなさそうだ。蘭さんが任せろと言うのだから、その言葉に従えばいい。
「あの、蘭さん。ひとつ聞いても宜しいでしょうか？」
『んー？』
「今、どこにいらっしゃるんですか……？随分騒々しかったですけれど」
『フツーにクラブ。VIPルームだからそこまでうるさくなかったと思うんだけど』
「く、くらぶ？」
『……部活？とかいうボケはやめろよ？』
今まさに思っていたことを言われてしまい、彼には見えていないのに口元を抑えてしまう。
クラブって……両親に隠れてこっそり買った雑誌で、単語だけ見かけたことがあるような。ミュージックバーみたいな、ものなのかしら。というか、VIPルームに入れるって、本当に蘭さんって何者なの？イマイチ、そのVIPルームとやらのシステムも、分からないけど。
『ナイトクラブ。興味あんなら今から来る？オレ顔パスあるから名前だけ出してもらったらVIP通せるけど』
「なっ……い、今何時だと思ってるんですか！」
『はあ？９時半。夜始まったばっか。つかクラブに入るにしては大分早い時間だろ』
「不健康ですから、あまり夜更かしされないで下さいね。お体に悪いですから」
『あーホント、オマエって言うこといちいち面白。なんか、この電話も正座しながら喋ってそうだな』
「えっ、なんで分かったんですか！？」
『マジでしてんのかよ』
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名無 - 神すぎる。占ツクでここまで完成度の高い作品は久々に見ました。 (2022年2月13日 13時) (
レス) @page25 id: 918f2226ec (このIDを非表示/違反報告)
桜妃(プロフ) - 作者様語彙力ありすぎでは…！？更新楽しみにしてます！ (2021年9月6日 3時) (レス) id: 16f20e3b96 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴ子(プロフ) - はじめまして…こんなに作品に引き込まれたのは初めてです；；主様のペースで更新楽しみにしております！ (2021年8月26日 12時) (レス) id: de92cbd6b8 (このIDを非表示/違反報告)
しいい - すごく好きです！続き楽しみにしてます！！ (2021年8月26日 1時) (レス) id: 69df95b685 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 大っ好きです！蘭ちゃん…可愛すぎる…更新楽しみにしてます\(//∇//)\応援してます！ (2021年8月25日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：子@さぶ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時：2021年6月30日 23時
