第百三十六の怪 ページ46
「そんな、理由で……？」
「……ああ、不憫だよね。
もう何十年も前の話だし僕も概要しか知らないから、
実際彼女がどういう仕打ちを受けたのかまでは分からないけど。
それでも、辛い思いはしたんだと思う。
……ま、そういう訳で僕としてもあの子は例外ってことだよ。」
「……」
怪異なはずなのに何をするにしても怪異らしくない彼女。
いつも穏やかに笑っていることが多いけど、
その小さな背中に背負うモノはきっと
忘れたくても忘れられない記憶。
Aちゃんは、どんな思いで今も現世に留まっているんだろう。
「まあ、これで大体分かったでしょ。
生前も厳しい仕打ちを受けて、
死後も今に至るまで七番に異常に執着されて呪われてる。
……それを助けてあげたいと思うのは道理じゃない？」
「……なるほど、確かにそれなら筋が通る。」
少し目を伏せた姿を見る限り、
本当に助けたいっていう気持ちは少なからずあるんだろう。
最初、怪異退治には一切の容赦がない会長が
唯一存在を容認したAちゃんに興味があったからこそ
よく彼女を観察していたけど……
なるほどな、と改めて今の話で気づいた。
「それでさー、さっきから思ってたんだけど。」
「？」
「蒼井、先輩には敬語☆」
そう言ってムカつくくらいの清々しい笑顔をした会長は、
いつの間にか鞘から抜いていた刀で傷がつかない程度に
ツン、と刃先を僕の胸あたりに当てた。
その瞬間
「ぐあああああ！？」
本気で気絶するレベルの電流が体を伝った。
七不思議の力を持ってるから簡単には死なないけど、
仮にも人間に対して怪異退治用の刀向けるか普通？
色々と容赦無さすぎだろコイツホントさぁ……
＿＿＿
生徒会室から飛び出したわたしは、
そのままの勢いで屋上の扉の前まで駆け上がり息を吐いた。
少し前に会長様から告げられた言葉が
ずっとぐるぐる頭の中を回っている。
＿＿……この意味、キミならよく分かるんじゃない？
『……っ、』
分からない、分からないの。
でも……何となく最近思ったことがあるんだ。
＿＿わたし、本当にここに居ていいのかな。
って、訳もなくそう思ってから、
それはずっと取り憑かれているかのようにわたしの背を歩いてくる。
普くん達と一緒に居られることは嬉しい。
でも、
本当にその場所にわたしも存在していることが正しいことなのか
頭にノイズがかかったかのように、なにもかも
『……っ分からないよ、』
続く
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ひより - 更新待ってます！！！ (3月17日 9時) (
レス) @page46 id: 07c25e379c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - このシリーズ大好きです。いつでも更新まってます！ (2023年2月28日 16時) (レス) id: 707eeda184 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - もう更新は無いのですか？いつでも待ってます!! (2022年12月24日 18時) (レス) id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - 続きがすごく気になります！！更新頑張ってください！！！ (2022年12月3日 8時) (レス) @page46 id: bbb8acb98d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん - 続き読みたい (2022年7月8日 22時) (レス) @page42 id: 2b16648ba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空白 | 作成日時：2020年4月18日 5時
