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第百二十二の怪 ページ32

「ダメだA!!」



「なんでお前が止めるんだよ!!」



『……』



Aさんがそう言った途端、焦ったようにダメだと言う花子。
そう言って慌てて駆け寄る花子を一瞥し、
またこちらに向き直るAさん。



「それを使ったら、また……!」



『……ねえ光くん、わたしの噂話覚えてるかな?』



「え、?」



『__花の水やりを手伝うと、
何でもひとつだけ願いを叶えてくれる。



って、覚えてない?』



「あ、つまり……!」



「そう、光くん時々寧々ちゃんと水やりを手伝いに来てくれるでしょう?



その引き換えとしての願いを、ここで使う。」



「なるほど!」



名案でしょ。と言って微かに笑うAさんにつられて、
オレも少しだけ笑った。



『……でも、寧々ちゃんの寿命が少ないことを
今まで隠していたのはごめんなさい。』



「……Aさん、」



また悲しそうな顔に戻ってしまうAさんの様子に
胸がジーンとあたたかくなった。
こんなに優しい人は他にいない、と。
そう考えていた時、今まで黙っていた蒼井先輩が近づいてきた。



「ああよかった。



やっぱり零番様は"違う"んですね。」



『違う……?』



「ええ



そこの外道と違って、
悲しいとか、助けてあげたいとか……



そういうのちゃんとあるんだなって。」



「……」



「会った時から見てましたけど、
やっぱり違うんですよ。



怪異として関わる姿勢も、生者への干渉の仕方も



他の怪異と比べて異様に感じてしまう程、



何かが決定的に違う。」



『…………』



そう言ってAさんを見る蒼井先輩に、
驚いた様な、それでいて少し考える様な表情を浮かべているAさん。
続けて蒼井先輩は話し出した。



「さっき八尋さんの寿命の話を隠してたった事実には



正直一瞬疑いました。



けど、しっかり貴女は貴女の考えで動いてるんですね。



七番様に命令されたから真実を話さないのではなく、



自分なりに考えて、言わない方がいいと判断したから言わなかった。



……だから、僕も意志を示してくれた貴女のために力を使います。



源後輩の時間は僕が止める。」



『え、』



「!」



そう言ってオレの目の前に時計を出す蒼井先輩。
びっくりしたように目を丸くするAさんに
ふっと笑顔を見せる蒼井先輩。



「カコが時間を戻している間、源後輩の時間を僕が止める。
そうすれば君は巻き戻しの影響を受けないで済むはずだ。」

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ひより - 更新待ってます!!! (3月17日 9時) (レス) @page46 id: 07c25e379c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - このシリーズ大好きです。いつでも更新まってます! (2023年2月28日 16時) (レス) id: 707eeda184 (このIDを非表示/違反報告)
- もう更新は無いのですか?いつでも待ってます!! (2022年12月24日 18時) (レス) id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - 続きがすごく気になります!!更新頑張ってください!!! (2022年12月3日 8時) (レス) @page46 id: bbb8acb98d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん - 続き読みたい (2022年7月8日 22時) (レス) @page42 id: 2b16648ba7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空白 | 作成日時:2020年4月18日 5時

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