4話:野生的な朱色 ページ4
平和なジャングルを木の実を食べつつ歩いていくと泉に出た。
とてもラッキーだ。底まで見える澄んだ水で満たされている泉。
今日はここで夜を明かそう。
食料もある。水浴びもできる。周りには可愛い小動物たち。暖かい常夏のような過ごしやすい気候。これ以上にない野宿場所だ！
ルンルンで泉に一層近づく。肩に乗っているリスもノリノリである。
そして泉をのぞき込み私は言葉を失った。
そこにあるのは泉に反射した自分の顔である。
金色の眼に金色の髪性別はどっちともつかない中性的な顔立ち。
でもすごく整っていて、
まるで
「お人形さんみたいだ」
ぽそっと呟いた私の声はそのまま小動物の鳴き声に飲み込まれる。
私の容姿はひどく目立ちそうだ。
人さらいなんぞには合いたくないなーと思いつつ一息つくと一気に疲れが来たのか眠くなってきた。
泉を見渡すと大きな木が1本伸び伸びと育っており、周りには沢山の小動物たちが集まっているどうやらお昼寝しているようだ。
「ふあーお邪魔しまーす」
眠気眼でフラフラと近づきその群の間に入れてもらい、ふわふわに囲まれた私は眠気がピークに達した。
何やら視界に赤い色がちらついたが、世界が違うのだ。毛並みの色が特色した動物がいてもおかしくないであろう。
と、そのまま眠りについた。
ついてしまった。
もう少し思案していれば簡単にわかったことを最古のマギは見逃した。
王様ともなるシンドバッドが何故あそこに従者を連れずいたのかを。
そして
何故こんなにもジャングルが小動物に溢れ穏やかなのかを。
小動物を食らう獰猛な動物を追い払う要因である朱色の毛並みの持ち主が大木の根もと目を覚ます。
「……(また小動物たち……)」
そして彼は固まった。
いつものお昼寝場所に自分と小動物以外の存在に。
野生的な自分が気が付けなかった人物、小動物に囲まれた金色の髪の美しい少女に。
彼は少女に手を伸ばす。
「(綺麗だ)」
そっとセシリーの髪を撫でる、朱色の毛並みの彼は、シンドバッド王眷属マスルールである。
髪を撫でる手に擦り寄り夢心地なセシリー。
「(このままでは風邪を引いてしまうのではないか?しかし、シンドバッド王にはできれば合わせたくない。)」
美しい少女の貞操と風邪を心配し悩むマスルール。
「(風邪は治せないが、貞操なら俺が守れば良いか)」
そう結論づけるとそっとセシリーを抱き上げ王城へと足を向ける。
セシリーは起きない。
寝覚めは最悪のものとなろう。
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眼鏡 - この先すごく楽しみです！更新頑張ってください！面白かったです (2018年10月7日 19時) (
レス) id: c0b6d2e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
鮫尾(プロフ) - ファウストさんコメントありがとうございます！これからもよろしくお願い致します (2017年10月22日 15時) (レス) id: 288dceacd6 (このIDを非表示/違反報告)
ファウスト(プロフ) - とても良かったですよ！更新頑張って下さい！応援してます！ (2017年10月22日 12時) (レス) id: 2967d5163e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鮫尾 | 作成日時：2017年10月22日 6時
