黒バス成り代わり 2 【花宮真】 (ページ7)

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57話ページ7

バスケの後に適当にお昼を食べて解散となった。

高尾と翔一さんをホームで見送り、俺達も宿からバスに乗って帰路についた。

去り際翔一さんが

｢まこちゃんまたすぐ会えるからな〜｣

と、言ってきたが次会えたとしても冬のインターンだ。遠回しに来なかったらわかってるよな？というプレッシャーだろうか？

だが今回の練習試合で気がついてしまったのだ。
選手の質が良くてもチームプレイが出来なければ勝つことは不可能。
無論先輩方は質以前の問題だ。

結果が見えていて気合で〜なんて頑張る程暑くはない。でも翔一さんとの約束も叶えたい。
何とかして勝率を上げられる作を考えなければ。

悶々と考えているとあっという間に学校前についた。
校門前で解散となり、2日ぶりの家へ。

夜もふけっているが両親はまだ仕事だろうといつも通り玄関を開ける。

が
1足の革靴。

言わずもがな父親の靴だ。

前にもこんなことがあった。とてつもなく嫌な予感がする。

重い足をなんとか動かしてリビングへと通づる戸をそっと開けるとスーツ姿のまま椅子に座っている父の姿。

上着ぐらい脱げよ。と思いつつ渋々声をかける。

｢……ただいま｣

｢ああ、おかえり。急なんだが話がある。｣

ほらきた。今度はなんだってんだ。

昼間の楽しいバスケの余韻にも浸らせて貰えないのにムカつきを覚える。

だが次の瞬間、そんなムカつきが吹っ飛ぶ程の衝撃を受けることになった。

｢留学しなさい。USAの学校だ。手続きは既に済んでいる。若いうちに見識を深め、跡取りとして申し分ない人材になりなさい。出発は来週。寮ぐらしになる。持っていきたいものをまとめておくように。｣

そうスラスラと事務連絡のように告げた父親は会食があるから出る。といって家を開けた。

身動きひとつ取れない、時間が止まったような錯覚に陥る。

アメリカへ留学……期間は？
冬のインターンまでには……

間に合ったとして氷室のみで切符を掴むのは不可能だ。

たった一つの願いも潰されてしまった

約束を、守れない

ゆっくりと震える指で電話をかける。
ワンコールもしないで繋がり愛しいひとの声が届いた。

｢もしもし、まこちゃん？｣

｢翔一さん、ごめんなさい……｣

｢……なんや、何があった。｣

私の覇気のない声にそっと聞いてくれる優しさに涙が溢れる。

｢ごめんなさい……｣

あなたとの約束守れそうにない。