あの日 ページ10
…時は第二次世界大戦真っ只中の、1940年代
日本の戦況は最悪だった。
戦争が始まってすぐは好調だったけど、所詮は大国とちっぽけな島国の戦争だ。
物資も人員もすぐに尽きて、陸地は炎の海になった。
…そこで、すぐに降参していればよかったのに。
日本の中枢は、最後の最後まで足掻こうとした。
「…そこで、進められたのが�犧能�兵器計画�瓩澄�」
サトシの言葉に、マサキがふぅ…とため息をつく。
「最終兵器計画、なんて知らない…」
俺が首を振ると、そりゃそうだよとマサキが呟いた。
「…中枢の中枢だけが知ってた、水面下で進められた計画だから。」
それに、思わずゴクリと唾を飲む。
「その、最終兵器計画って…」
「まあ…物資も金も人員もない中で苦し紛れに考えたクズみたいな計画だよ。」
吐き捨てるようにそう言ったマサキを、サトシは悲しそうな瞳で見つめた。
「元々は、戦争を優位に進めるために戦争初期から考えられてた計画だったらしいけど。結局戦況が悪化していく中で、核を開発する力が日本には無くて、けど降参することは考えなくて。
そこで、親も身寄りもなかった俺たちが使われたんだ…」
苦しそうで悔しそうなマサキの背中をサトシが宥めるように撫でている。
「…その計画は、人間の力を最大限に引き出して、超人的にするもので。誰にも知られる訳にいかなかったから、南の孤島の夜嵐島に研究所が作られた。」
あれだけ明るかったサトシさんの声が、嘘のようだ。
「肉体的に最も充実した少年が日本全土で探された。尤もその頃、条件に合う男は戦争に行ってていない人も多くて…
戦争に行くのにギリギリ引っかからなかった俺たちが…」
涙ぐむマサキに、もう喋んなくていいよ、とサトシが優しく微笑んだ。
「連れてこられた時、俺は最年長で…13歳だったかな。ショウが12歳、マサキが11歳、カズとジュンが10歳、だったっけ？」
サトシの言葉に、マサキがゆっくりと頷く。
「終戦までの5年間、俺たちの体は開発されて…いつの間にか、極限の環境下で恐ろしい力が備わっていた。そして、敵国へ俺たちを潜入させようとしていたちょうどその時…」
サトシの瞳から、つぅっ…と一筋、涙が流れた。
「原爆が日本に落ちた。計画は一気に中止になった。日本は連合国に息の根を止められる寸前にまで追い込まれて、降伏せざるを得なくなった。」
それからが、地獄だった…と呟くサトシは疲れ切っているような表情を見せた。
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櫻宮 - なんか…嫌な感じですが。5人(+1人？)ならきっと乗り越えられると信じてます。。全員無事でありますように。そして、全員で笑えますように。。続き気になる！！ (2020年6月28日 17時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» いつもコメントありがとうございます。やっと黒幕と対峙し、お話も佳境です。結末まで、もう少し…かな？笑 (2020年6月27日 7時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - サトシとマサキじゃなくてサトシたちとカズたち会えると良いですね。 (2020年6月25日 15時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 何だか凄く泣けますね。サトシとマサキ無事会えると良いですね。 (2020年6月25日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» 今日は少し多めの５話更新です…！コロナも先が見えずに暗くなりがちですが、嵐さんを見て私も癒されています♪私も「Wash your hands」で楽しみながら手洗いしていますよ〜 (2020年6月24日 21時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
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