思い出すのは ページ22
目の前でチラチラ光るカズナリは、まるでホログラムみたい。
おもしろくてじーっと見ていると、気に障ったのかチッと舌打ちをされた。
カズナリの手足は痩せていて、髪は黒くて短く、服はおそらく亡くなった当時のもの。
色はわからないけど、無地でボロボロの長袖長ズボンを履いている。
袖や裾からチラッと見えた腕と足には無数の数が刻まれていて、見ちゃいけない気がして目を逸らした。
「そうだ、ジュン。カズナリだぞ。会いたかったんだろ？」
気まずい空気を避けて呼びかけてみるけど、なぜか応答はない。
あんなにカズだカズだと騒いでいたのに。
不思議に思って首を傾げると、カズナリはそんな俺を見てそっと訊ねた。
「…なあ、ジュンは…元気そうか？」
「うん、声だけだけど…元気そうだったよ？」
俺がそう答えると、カズナリは「そうか…」と小さく呟いて俯いてしまった。
そこには、いつもの強気で偉そうなカズナリの姿は無い。
「…カズナリ？」
「ジュンと俺は…兄弟みたいだったんだ。」
ポツリポツリと話し出したカズナリの声が心なしか震えてるのは、気のせいじゃないだろう。
「同い年、だったけど…ジュンは人懐っこくて甘えん坊で…人と接するのが苦手な俺でも、ジュンはすぐに甘えてきた。一緒に遊ぶのが楽しくて大好きだった。」
カズナリが手で目元を拭うと、一つの雫がきらりと光って落ちた。
「カッとなりやすい俺を、よく宥めてくれて…誰にでも優しいやつだった。
敵の奴らにさえ、傷つけるのは嫌だって攻撃しないヤツで…」
その言葉を聞いて、先ほどの光景が頭に浮かぶ。
俺がカズナリの、腕を掴んで、攻撃しないでって言った時。
あの時、もしかしたら…カズナリには俺とジュンが重なって見えたのかもしれない。
「忘れもしない、最期の瞬間。
ジュンは最期まであいつらに攻撃をしないで逃げ回っていた。だから標的にされて…守ろうとしたけど間に合わなかった。ジュンは瓦礫に埋もれて死んでしまった。」
カズナリの声は、いつのまにか嗚咽が混じっていた。
「あれから、我を忘れて攻撃することが増えた。俺は力任せに電流をぶっ放して、あいつらを斬滅することしか頭に無いケダモノになってる。」
カズナリが力なく首を振る。
「あの時の絶望は…いまだに消えることがない。だからこうして俺は、未だに成仏ができないままここにいるんだろうな。」
カズナリは自嘲気味にそう言うと、小さく笑ってそのまま黙ってしまった。
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櫻宮 - なんか…嫌な感じですが。5人(+1人？)ならきっと乗り越えられると信じてます。。全員無事でありますように。そして、全員で笑えますように。。続き気になる！！ (2020年6月28日 17時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» いつもコメントありがとうございます。やっと黒幕と対峙し、お話も佳境です。結末まで、もう少し…かな？笑 (2020年6月27日 7時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - サトシとマサキじゃなくてサトシたちとカズたち会えると良いですね。 (2020年6月25日 15時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 何だか凄く泣けますね。サトシとマサキ無事会えると良いですね。 (2020年6月25日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» 今日は少し多めの５話更新です…！コロナも先が見えずに暗くなりがちですが、嵐さんを見て私も癒されています♪私も「Wash your hands」で楽しみながら手洗いしていますよ〜 (2020年6月24日 21時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
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