濁った感情 ページ15
しばらくして
みんなの気分も体調も落ち着いた頃を見計らって、翔さんが口を開いた。
「状況を整理しようか。」
もう辺りは真っ暗で、明かりはない。
けれど暗闇に慣れた、ヒトと違うこの目は、周りを見るのにほとんど苦労はない。
頭上には満天の星が広がって、まるで銀河に包まれているみたいだった。
「サトシ、ショウ、マサキ、カズナリ、ジュン。
かつてこの島に連れてこられた5人。
ここで昔、5人は能力者として生まれ変わって、そして亡くなった。」
すぐ傍の翔さんの声と、遠くから海の波の音が微かに聞こえる。
「彼らの能力は、おそらく俺たちに宿った能力。
俺…すなわちショウは未来予知。」
雅紀さんがそのまま翔さんに続いて答える。
「俺は動物に変身できる能力…かな？」
「俺は…体から電気が出ます。」
ニノも怯えたような小さめの声でそれに続く。
「俺は、多分…ジュンと能力は同じ。俺の上位互換ていうのかな…？」
「んにゃ、俺も多分そう。」
「というか、みんなそれぞれ上位互換か…」
俺の言葉に智さんが頷く。
一通り全員が話し終わると、翔さんはぱちぱちと瞬きを繰り返した。
「亡くなったのは、サトシは11月、ショウは1月、マサキは12月、カズナリは6月、ジュンは8月。」
パズルのピースをひとつひとつ丁寧に拾うような翔さんの声。
「…導かれることは？」
うー、と小さく唸る智さんと雅紀さん。
顔を見合わせる俺とニノ。
「…それぞれの名前、能力、そして5人の命日と俺たちの誕生日の一致。
これは偶然…ではないですよね。」
ニノが辛そうな顔をしてそう呟く。
…おそらくみんな気づいている。
そして、俺も…
「俺たちが能力者になったこと、俺たちがみんなでここに来ること、俺たちの家族が襲われたこと。
全部、全部…必然で、ずっとずっと昔から、俺たちが生まれた瞬間から決められていたことで…」
視界がぼんやりと歪んだ。
「…そう、なるよね。」
空気が凍ったように冷たく感じる。
「そしたら…俺たちは、彼らの生まれ変わりってこと？」
雅紀さんがきゅるりと黒目を動かした。
「さしずめそういうことになるよな…。」
翔さんが空を仰ぐと、その瞳は深い青に染まって静かに光った。
「…これに関しては、もっと詳しい奴らに聞くしかないんだ。」
翔さんが憎々しげにそう呟き、ギュッと歯を食いしばる。
「覚悟はいいか？」
翔さんのその問いに、首を横に振るものは誰もいなかった。
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櫻宮 - なんか…嫌な感じですが。5人(+1人？)ならきっと乗り越えられると信じてます。。全員無事でありますように。そして、全員で笑えますように。。続き気になる！！ (2020年6月28日 17時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» いつもコメントありがとうございます。やっと黒幕と対峙し、お話も佳境です。結末まで、もう少し…かな？笑 (2020年6月27日 7時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - サトシとマサキじゃなくてサトシたちとカズたち会えると良いですね。 (2020年6月25日 15時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 何だか凄く泣けますね。サトシとマサキ無事会えると良いですね。 (2020年6月25日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» 今日は少し多めの５話更新です…！コロナも先が見えずに暗くなりがちですが、嵐さんを見て私も癒されています♪私も「Wash your hands」で楽しみながら手洗いしていますよ〜 (2020年6月24日 21時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
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