今まさに ページ14
一瞬の静寂の後、ぱちりと翔さんが目を開く。
「ん…」
小さく声を漏らし、ゆっくりと瞬きを繰り返している。
「翔さん…大丈夫？」
俺がそっと声をかけると、ふわりと俺の方へ首を向ける翔さん。
「ん、大丈夫…」
その返事は寝起きのようにどこかふわふわしていて、いつもの翔さんじゃないみたい。
「ショウくんと、こっちの翔くんは…あんまり似てねえからなぁ。顔はそっくりだけど…
だからずいぶん負担が掛かったんだろ。」
サトシがそう言うと、ニノが鋭い瞳でちらりと見た。
ニノが言いたいことはわかる。
…智さんの体は大丈夫なのかってことだろう。
智さんはそんなニノの視線に気づいているのかいないのか、全然ニノの方を見なかった。
「…長い間、俺たちの止まったままだった時間を、君らが動かしてくれた。」
そう言って、サトシは景色の一つ一つを目に焼き付けるように辺りを見渡した。
「…俺もそろそろ行かないとなあ。居心地が良すぎて長居しちゃった。」
ぼそりとサトシが呟いて、んふふと気持ちよさそうに笑う。
俺たちとそんな変わらない歳のはずなのに、その姿はなんだか大人びて見えた。
「…俺たちは、もともと2つに1つ。
…ん、1つが2つ、かなあ？」
「なに意味わからないこと言ってんですか…」
ニノが訊ねると、ふにゃんと笑うサトシ。
その笑顔は、智さんとおんなじだ。
「会えてよかった、本当に。」
「サト…」
名前を呼ぼうとすると、サトシは舞うようにその場を離れた。
「智に…ありがとうって伝えてくれや。」
「サトシ！」
駆け寄った瞬間、目の前でサトシがガクリと崩れ落ちる。
雅紀さんも俺に続いて飛び出したのか、すぐ後ろでザッと動く気配がした。
「サトシ、サトシ！」
慌ててその体を支えて名前を読んでも、もうここにサトシはそこにいなかった。
「…もう大野さんだよ。どっか行っちゃった…」
ニノがその顔を窺い見て首を横に振る。
「うん…」
俺の腕の中にはすやすやと気持ちよさそうに眠る智さん。
「…ちょっと、休もうか。」
雅紀さんの声に、ゆっくりと頷く俺とニノ。
そこに、体を引きずるようにして翔さんが合流して
隣に腰を下ろした。
「…時を超えて彼らに出会えたこと。それだけでも、俺らがここに来た意味があった。」
翔さんの言葉に、誰もなにも言わなかった。
けれど、心に秘めた想いは一緒だと、口に出さなくてもわかっていた。
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櫻宮 - なんか…嫌な感じですが。5人(+1人？)ならきっと乗り越えられると信じてます。。全員無事でありますように。そして、全員で笑えますように。。続き気になる！！ (2020年6月28日 17時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» いつもコメントありがとうございます。やっと黒幕と対峙し、お話も佳境です。結末まで、もう少し…かな？笑 (2020年6月27日 7時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - サトシとマサキじゃなくてサトシたちとカズたち会えると良いですね。 (2020年6月25日 15時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 何だか凄く泣けますね。サトシとマサキ無事会えると良いですね。 (2020年6月25日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 櫻宮さん» 今日は少し多めの５話更新です…！コロナも先が見えずに暗くなりがちですが、嵐さんを見て私も癒されています♪私も「Wash your hands」で楽しみながら手洗いしていますよ〜 (2020年6月24日 21時) (レス) id: bdb041c54a (このIDを非表示/違反報告)
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