∂ ページ41
「どうしよっかなあ…」
あれから数日が過ぎたけど、僕たちの仲は良くなる兆しが見えない。
むしろ悪化してるんじゃないかって思ったりもする。
しゃべることもなければ目を合わすこともなくて、他の3人に気を使わせていることも実感してる。
3人は早く仲直りしろとは口に出して言わないまでも、居心地の悪さを感じているのがよくわかって
大野さんは格段に任務に行く回数が増えたし
翔さんと相葉さんは、家の中でも落ち着かずにうろうろと動き回っていることが増えた。
それがわかっていても、そもそもジュンくんと同じ空間にいることが叶わず、僕はどうするべきか考えあぐねていた。
自己嫌悪に陥りながらも、ただいたずらに毎日が過ぎ去っていく。
あれから良い考えが浮かばずに、僕は完全に謝るタイミングを見失っていた。
ご飯も、勉強も、能力を使う時もいつも隣にいたのに
自分の体の一部を失ったみたいな喪失感に苛まれる。
「やっぱりお詫びの品は必要だよなぁ…」
ひまわりを持って嬉しそうに笑うジュンくんが、自然と脳裏に浮かぶ。
ひまわりは多分、どう頑張っても用意できない。
そしたら何か代わりのものが必要だけど、何を用意するのがベストなんだろう…
ううん…と唸ったところでいい考えは浮かばず、ぐったりとソファに凭れかかった。
「あれ、カズじゃん。」
声がして顔を向けると、そこには冷蔵庫を開ける大野さんがいた。
「さっき翔くんとジュンが出掛けてったけど…一緒に行かねえの？」
「行けるんだったら行ってますよ…」
…何でそんなこと聞くんだろう
大野さんだって、この状況を知らない訳ないのに。
「…カズって案外めんどくさいのな。」
大野さんは呆れたようにふぅっと息を吐くと
片手にお茶の入ったコップを持って僕の隣に座った。
それから何も言わない僕をチラリと一瞥し
ゴクゴクとお茶を飲んだかと思うと、ボソリと呟く。
「…何か探してんの？」
「…はい？」
脈絡のない言葉に眉をひそめても、大野さんは欠伸をして気にも留めない様子で。
「おーい、雅紀！」
なぜか2階に向かってそう呼びかけると、相葉さんがひょこっと顔を出した。
「どうしたの？」
「今大丈夫？」
大野さんのその言葉に、階段を降りてくる相葉さん。
「散歩でもしてさ、カズにこれ教えてやって。」
そう言って相葉さんに手渡したのは、分厚い何かの本。
「じゃ、頼んだわー。」
大野さんは僕と相葉さんを残して、ふらりと2階へ姿を消した。
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