☆ ページ20
いつのまにか、昼時になって。
窓の外では絶え間なく蝉が鳴いていて、ギラギラした日差しがアスファルトを照らしている。
さっき雅紀から連絡があって、昼は外で食べて来るとのことだったから、昼は俺と智くんだけだ。
なんだかんだでそうめんを茹でてくれてる智くんを横目に、俺は作業を続けていた。
首振りの扇風機が、ふわりと髪を巻き上げる。
インターネットで一つ一つの場所を調べ、星の観察しやすさを計算して
地図上に赤ペンでバツとマルをつけて場所を絞っていって
うーん、と伸びをすると、智くんがザルを持ってリビングに入ってきた。
「できたよ。そろそろ休んだら？」
「うん、ありがとう。」
俺は適当にパソコンと資料を片付けてから
2人分の箸をテーブルに並べ、麺つゆを蕎麦猪口に注いでそれも2人分並べた。
「それじゃ、いただきます。」「いただきます。」
お互いに手を合わせてそう言うと、ずるずると麺を啜る。
「美味い〜！やっぱ夏はそうめんだね！」
そう言うと、智くんがくすくす笑った。
「そういえば、仕事は進んだの？」
先程俺が適当に端に寄せた紙の山を、智くんがちらりと見て俺に尋ねる。
「うん、まあなんとか。とりあえずポイントは絞れた。」
「それなら良かった。」
智くんはそれだけ言うと、ずるずるとそうめんを啜った。
…場所はどこかとか、いつ行くのかとか
気をつけるように、とか。
何も言わなくても、智くんはわかってるんだろうな。
目の前でずるずると美味しそうにそうめんを啜ってる智くんを見ながら俺が小さく笑うと
智くんは不思議そうな顔をした。
「早く食べないと、麺のびちゃうよ？」
「ふふっ、食べるよ。」
窓の外では、ギラギラ光る太陽の下
蝉が鳴き交わしている。
これからもっと気温も上昇して、まさに夏らしい日になっていくだろう。
「午後はクーラーつけよっか。」
「だなぁ。」
ジリジリする日差しに目を細めてそう言えば、智くんも頷く。
今日もまた猛暑日になるんだろうなと考えると
ちょっと気が滅入るけど
夏はやっぱり暑くなきゃ夏じゃないよな。
そんなことを思いながら、俺は一気にそうめんを啜った。
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