虹色のお話 (ページ18)

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side 橙

まあでもああやって会話できてるだけマシなほうなんかな。
少しでも早く帰れるように送りの順番をマネージャーに相談しよ。

そんな思考は濱ちゃんの声に引き戻された。

｢なあ照史、もしかしたら淳太家まで持たんのとちゃう？｣
｢ツッコミできてるぐらいやからまだマシ…ああ、あれはあかんわ｣
｢どこまで持つと思う？｣
｢ジュニアも近くにおらんくなる楽屋入った瞬間、やろな｣

改めて後ろ姿を見ると、身体の背面にある手。
その手が耐えるようにぎゅっと握りしめられとる。
パッと見た感じ多分結構な力が入っとって、爪の長さによってはくい込んどる可能性もあるな。

崩れ落ちる可能性も考えて、足早に淳太くんに近づく。
そっと触れた背中は運動後の火照りでは説明がつかないほど熱く、驚いて顔を覗きこむ。

｢なあ淳太くん、｣

熱あるんとちゃう？

ぐっと腕にかかった重さで最後まで声にならんかった。

ちょうど楽屋に入ったタイミング。
覗き込んだ顔がふっと下に落ち、咄嗟に崩れ落ちかけた身体を支える。
腕はだらんと揺れ下がり、意識を飛ばしてるのがわかった。

予感的中。
とりあえずソファに運ばんとな。

｢濱ちゃん、弟組頼むわ｣
｢はいよ〜。皆とりあえず水分取りや｣

弟組は濱ちゃんに任せて、まずはこの人や。
想像よりも軽い身体を横抱きにして、楽屋の壁際にある人が寝れる程度に大きいソファへ足を進めた。