【キバナ】絶対零度 (ページ8)

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-キバナside-

彼女はバイバニラをボール、ではなく声で自分の方向に呼び寄せ、
続けて足元にぴったりだったグレイシアに指示を出している最中だった。

まずはお手並み拝見。と、フライゴンの背に寝っ転がり、戦いの様子を見守った。

彼女はモンスターボールを使わなかった。

ボールを使ってない。

つまり、

あのグレイシアとバイバニラは彼女のポケモンではない。

ただ、最もオレ様の興味を引いたのは、そこじゃない。

コイツの表情と、その、"目"だ。

顔色を一切変えることなく、戦っていたソイツの、目に、妙に惹きつけられた。

まるで、氷のように冷たいその目は、目の前のアオガラス。

ではなく、

もっと先の何かを求めているようにも見えた。

あぁ、ダメだ。

みてるだけじゃ、満足できない。

アイツと戦わねぇと、今日の仕事は手につかない。

そう、確信した。

「おいっ！！！！」

オレ様の怒号が、ワイルドエリアに響き渡る。

突然のことにビクッと肩を震わせたトレーナーと刹那にして、目線が絡む。

その瞬間、彼女の目が、真っ直ぐとこちらをみた。

その瞳は透き通った氷のように美しくて、

ポケモン達を後ろに庇いながら、冷静にオレ様を見据える。

その目が、氷のような冷たさと冷静さ。

そして、

僅かだが、いやでも確かに、

ひどく鋭利な攻撃心を孕んでいたことを、よく覚えている。