【キバナ】絶対零度 (ページ28)

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まだ私が、ポケモンをボールに入れていた。

そんな、ずっと昔のような記憶。

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「いいか！ボールを投げるときはこのフォームだ！」

『わぁ、かっこいい。』

「レッツ！チャンピオンタイムだ！

Aは女の子だからな！
こんな肩を悪くしそうなフォームはダメだぞ！

腕を大きく振るんじゃなくて、
こう右手で払うようにボールを前に滑り出すんだ！」

『チャンピオン直伝のフォームじゃんいえーい。』

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『キバゴ、ドラゴンクロー！
…あれ、効かない？なんで？？』

「ポケモンバトルをやるときに、
たいせつなタイプ相性をおしえてなかったな！」

あの頃は、ポケモンバトルが面白くてしょうがなかった。

もっと、知りたい。バトルのことを。

　

『教えてダンデくん。
もっともっと、バトルのこと。』

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7歳から12歳までをアローラで過ごしていた私に

ポケモンバトルのなんたるかを教えてくれた大恩人。

それが、ダンデくんだった。

いつも眩しい笑顔で笑いかけてくれて、
バトルがすっごく上手い、近所に住んでた男の子。

半年ぐらいの付き合いではあったけど、
本当にかっこよくて、憧れの存在だった。

そのダンデくんが目の前にいる。

言葉を失った私をまじまじとみて、
あぁ！と手を叩いたダンデくんは
パァっと表情を明るくさせた。

「もしかして、アローラにいたAか？

いやでもなんでガラル地方にいるんだ？？
あぁ、迷子か！」

『万年迷子のダンデくんじゃあるまいし。
私これでもジムトレーナーやってるんだから。

てか、ダンデくんがこの地方のチャンピオンだったの？』

「俺のチャンピオンタイム、見たことないのか！？
いつからガラル地方に来てたんだ！
言われたらすぐ顔を出しに行ったぞ！！」

『テレビ全然みないの。
こんなところでまた会うなんて本当びっくり。

話したいこと沢山あるよ、
ひとまず控え室行こ、ダンデくん。』

「ね？」と私が笑うと、
ダンデさんはあの頃と変わらない笑顔でにかっと笑う。

「大きくなったな、A。
それに、ポケモンバトルも最高だった！

思わずリザードンを出して参戦するところだった…。

行こう！俺たちのチャンピオンタイムだ！！」

完璧なまでのリザードンポーズを
みせてくれたダンデくんは、そのままあらぬ方向へ
駆け出して行った。

あ、迷子になる癖はやっぱりなおってないんだね。