【キバナ】絶対零度 (ページ11)

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そうだとも。とでも言うように胸を張って吠えるキバゴ。

『でも、私は…』

「キーバッ！！」

ガンっと私の手にキバゴが体当たりした拍子に、
手の中にあった２つのボールが偶然、いや、必然だったのか、

『あっ』

2匹のいる方向へ、ボールが飛んでいく。

機能的に問題のないスーパーボールは、
当たり前の如く、２匹をその中へと吸い込み

揺れて、揺れて、また揺れる。

そして、カチッという音ともに

グレイシアとバイバニラは"私の"ポケモンとなってしまった。

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-キバナside-

あぁ、くそ。やらかした。

透き通ったあの目がギラリとこちらを睨んだ瞬間に、
何が起こるのかを知りたい好奇心に負けたオレ様がバカだった。

ホワイトアウトのような視界の中、
辛うじて追えたのは何かが遠ざかっていく気配だけで。

キバゴが相棒の、グレイシアとバイバニラを率いた霰パーティ女。

アイツ、オレ様の顔をみて、誰だとかぬかしやがって。

脳内のリソースが今朝の出来事で一杯になっているオレ様に対し、
ジムトレーナーであるリョウタが愚痴をこぼす。

「キバナさん、そろそろ真面目に仕事なさってください。

あなたが噂のジムトレーナーと勝負がしたい。というから、
明日の仕事を今日に全部ずらしたんですよ。

このペースだと、徹夜しても終わりません。」

「でも、オレ様もう今日は仕事したくないのーーー。」

「先ほど仰っていた面白いトレーナーですか？
しっかりしてくださいよ全く…。

そんなんじゃ、明日のトレーナーに気持ちで負けますよ。
相手はこおりタイプ使いなんですから。」

やれやれといった調子で新しい書類を持ってくるリョウタに、やだぁと駄々をこねる。

「…はぁ。今朝のトレーナーも霰パを使っていたんでしょう？
もしかしたら噂のトレーナーだったかも知れないじゃないですか。」

「そんなわけないだろ。俺が今朝見たのはか弱い女の子だぜー？

それに、アイツはモンスターボールを使ってなかった。
ジムトレーナーがボールの使用が原則なのは、お前が一番よく知ってるだろ。」

あぁそうですねと聞いてるのか聞いてないのかよくわからない対応をされる。

リョウタにとってはおそらくどうでもいいことなのだろう。

「……次会ったら、絶対に逃がさない。」

そう小さく呟き、目の前につまれた宝物庫に関する資料に、オレ様は目を通し始めた。