今夜もう一度君を抱く【ツイステ】

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｢…は？｣


見開かれる綺麗な透き通った灰色の瞳が、何を当たり前のことを？と言わんばかりに見開かれる


不機嫌そうに歪んでいた目の前にある彼の眉間に皺が寄り始める


ローズハートさんが動いたからなのかベッドのスプリングの音がやけにクリアに響いた


先程まで私の熱を貪るように荒々しかった彼の態度が一変し始める


突き立てられる上司からの視線に居心地の悪さを感じ、自身の目線を下へと降ろしたその直後、





｢…ボクもAのこと好きだけど？｣



さらりと何気なく投下されたそれにピシリと体が固まるのを覚える

爆弾にも近い言葉が彼の口から吐き出され私の元へと返ってきたのだ


その文字を耳が受け取り、脳へと浸透させ、意味を解読するため思考回路が急ぎ足で駆け回る


とどまることを知らず、溢れ返っていたその涙すらピタリと止まる


驚きのあまり降ろしていた視線を再び彼の朱色へと上げ直すとローズハートさんの呼吸音が聞こえた



薄暗い彼の暮らしているマンションの寝室内に置かれているベッドの上で向き合うように座り込む私達の視線が再び重なり合う



ボクも好き？
そう目の前の上司は今、言ったのだろうか

脳がその答えに対して疑心暗鬼に陥り、信じられないと歪な言葉をあげる

その疑問が膨らみ始め、自身の感情が抑えきれずに口から言葉として漏れ始める





｢え、…ローズハートさん、私と体だけの関係を望んでいるんじゃ…っ｣


｢はあ？！誰がそんなことを言ったんだい？｣


｢だ、だって…っだって、お酒の勢いでやっちゃったじゃないですか！！｣



｢…A、あの夜の初めの会話は覚えてないのかい？｣


自身の呟きに対してすかさず言葉をぶつけてくるローズハートさんの瞳に鋭さが滲む


不機嫌だった表情が徐々に呆れを含み出す

薄暗さと窓から覗く外の照明がコントラストを描き、私達の体に影を付け加える


先程の行為のせいかシーツに皺が刻まれているのが視界の隅に映り込む

自身が着用している乱れたブラウスから肌が赤に染まっているのが覗く



上司から吐き出された文章を咀嚼しながら飲み込む


その言葉に答えるために当時の記憶を呼び起こすが、お酒に酔っていたのか、溺れていたのか、はたまた呑まれていたのか、その前後の事がどうしても思い出せなかった


はっきりと残っているのは、彼から注がれる甘い口付けとその逞しい手が肌を這う感触、それらにドロドロに溶かされたという事のみであった

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