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「なあ、A」
2度目の高校受験を控えた冬
正確にいえば2度目であろう、高校受験を控えた冬なんだけど。
暖房をガンガンにつけ、これでもかっていうぐらい暖かくしている室内にシャープペンシルを走らせる音が響き渡る。
私の自室で一緒にコタツに入りながら勉強をしている推薦入試で早々と合格を獲得した焦凍くんがこちらを見ながら唐突に口を開いた。
自身の名前を呼ぶその低い声に反応するようにゆっくりと赤色と白色へと視線を向ける。
「どうしたの？焦凍くん」
「…いや。髪、伸びたなって」
「え？髪…？あぁ、たしかに。」
彼の問いかけに去年まで短めのボブヘアーだった自身の姿を思い出す。
最近は、切るのが面倒という理由で伸ばしっぱなしになっているのが現状
指摘を受け焦凍くんの緑色と灰色のオッドアイに1度視線を向けてから胸より下まで伸びた自身の髪の毛を見下ろす。
その視線に合わせるかのように私の茶色の髪の毛と下側だけに赤色を見せる髪の毛へと手を伸ばしさわさわと触り出す彼
そんな至近距離の少年に変かな？と質問を送り返すと、
「…いや。変じゃねぇけど」
「そっか！ならこのままでいいや」
私に伸ばされた手を下げることなくそう答えた。
そんな近すぎる彼を気にもとめず再び机に広げられている参考書や教科書へと向き直る。
何かを言いたげな表情の焦凍くんを横目に問題文を読み始める。
超難関校といわれる雄英高校ヒーロー科の受験を控えている私は、毎日勉強へと明け暮れていた。
一応、前世からの引き継ぎ分もあり頭はわりかしいい方に分類されてはいるが気を抜くことができないほどの高い壁に挑むのが1番の理由ではある。
一足先に推薦入試で合格がでている友人もこうやって休みの日に勉強に付き合ってくれている。
私の反応になぜか不服そうに表情を歪ませる焦凍くんに対し、黙々と試験勉強を進めていく。
スナイパーという個性が表にでてきたあの夏から数年は経った。
しかし、未だに前世の欠けている記憶が戻ってくることは無かった。
記憶の残る前世の自分より歳をとった私
高校受験を乗り越えた前世の記憶がないことに多少は不安に思ったりもしているのは、事実
でも、前世にヒーロー科の実技試験のようはものはなかっただろうし。
なんなら、戦闘経験的なものもなかっただろう。
だから、今世の訓練を小さい時から受けていた自分はなんとかなるだろうと甘い気持ちを持っていた。
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砂時計(プロフ) - yuikaさん» コメントありがとうございます。この度はこの作品を見つけて下さり嬉しい限りでございます。そのお言葉を糧に細々と更新をしていこうと思ってますっ、これからも何卒お付き合いのほどお願いします(〃▽〃) (2021年8月19日 20時) (
レス) id: 3e29fdde61 (このIDを非表示/違反報告)
yuika(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！思わず一気に読んでしまいました、、、！これからも頑張ってください！！！ (2020年3月29日 15時) (レス) id: 090e0c37e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：砂時計
| 作成日時：2020年1月21日 1時
