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「焦凍…っ！Aちゃんが…っ」
すっかり、外も暗くなり始めた時間帯
夕御飯の支度をしていただろう姉の切羽詰まったような声が蒸し暑い廊下に響いた。
昨日の夜のこともあって朝からまったく顔を合わせていないあいつの名前を叫ぶ姉に脳が疑問を抱く
自分の冷房で冷やされた部屋から俺のことを呼ぶ姉の居る廊下へと足を動かす。
「…姉さん、あいつがどうしたんだ？」
焦っている冬美姉さんに声をかければAがまだ帰ってきていないのだとか。
あいつの靴自体がないらしく
親父と訓練をした後から姿を見ていないとか。
ここ2週間近くうちで過ごしている間で、ここまで夜遅くになっても帰って来ないということはなかった少女の姿を思い出す。
もしかしたら、誘拐とか事件とかに巻き込まれてたら
と、慌てだす姉を横目に思考が自分のせいなのかもしれないと答えをこぼす。
昨日の光景が脳内を駆け巡る
自分が冷たく突き放したりしたからなのか
それとも今日、わざとあいつを避けていたからなのか
自問自答を繰り返すが答えはでなかった。
「…くそ」
歪む表情を奥歯を噛み締め抑え込む。
数時間前に出かけた父親に連絡をいれようかと携帯電話を取りに走る姉に俺が探すと一言声をかけ玄関へと走る。
蒸し暑い夏特有のねっとりとした風が玄関から出ると体にまとわりつく。
蝉の鳴き声が遠くでこだまする。
あいつの黒色と赤色が思考を埋めつくす。
クソ親父に連れられて来たその少女を初めて見た時、苛立ちと怒りを感じた。
きっと、あの父親のことだ。
こいつを自分の野望を叶えるために利用するつもりなんだろうなと直感的に思った。
ヘラヘラと笑い利用されるなんて考えもしていない脳天気な少女に嫌気がさした。
だから、あいつの好意を拒絶した。
しかし、数日後ランニングに行く俺に無理矢理ついてきたAは、独り言のようにヒーローなる夢とうちに来た経緯を呟いた。
その貪欲でどこか大人びた真っ直ぐな目を見た瞬間初めて会った時の印象がガラッと、変わった。
こいつは、親父が利用しようとしているのも含め、わかっていてこの場に居るのだと。
自分より少しだけ小柄な彼女の横顔が荒んだ俺の目に眩しく写った。
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砂時計(プロフ) - yuikaさん» コメントありがとうございます。この度はこの作品を見つけて下さり嬉しい限りでございます。そのお言葉を糧に細々と更新をしていこうと思ってますっ、これからも何卒お付き合いのほどお願いします(〃▽〃) (2021年8月19日 20時) (
レス) id: 3e29fdde61 (このIDを非表示/違反報告)
yuika(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！思わず一気に読んでしまいました、、、！これからも頑張ってください！！！ (2020年3月29日 15時) (レス) id: 090e0c37e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：砂時計
| 作成日時：2020年1月21日 1時
