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「……お腹すいたな」
空はすっかり暗闇と混ざりこんで不敵に笑う三日月まで見える。
嫌なことや考え事をしたい時は祖父の持つ山でひたすら体を動かすに徹することにいつもしている。
モヤモヤとスッキリしない頭の中を整理するために山道を駆け巡るのだ。
そう、あの後、気分を変えるために祖父の持つ山へとランニングをしに走り出した私。
街中にそびえ立つその坂道を見るとなぜか心が落ち着くという理由で30分程をかけて向かったのである。
山道をいつもみたいにフリーランニングの容量で体を自由に使い駆け巡る。生い茂る木々を全て余すことなく使う。
頭の中の要らないものを全て撤去しすっきりとさせる。
何も無くなった脳の中で焦凍くんと仲直りしよう。そう、思考が大きな目標を掲げた
そして、現在、夜も遅くなったので轟家へと帰宅すべく帰り道を歩いていた。すると特徴的な赤色と白色の髪色をした彼、轟焦凍が息を切らした様子でこちらへと向かってきているのが見えた。
夜遅くにランニングかな？と思いながら近づいていく距離。昨日からのことを思い出し、若干の気まずさが体を重たくさせる。
視線が彼の顔から足元へと降りていく。
次の瞬間、どんどん近づいてくるその姿が私の前で止まるや否や言葉を吐き捨てた
「何時だと思ってんだ」
「心配しただろ…！姉さんも、俺も」
精神年齢的にも歳下の少年に大声で叱られた
薄暗い道路に彼の少し不機嫌さを含めた声が消え散っていく
その声に驚き一瞬、ビクッと体が反応を示す
しかし、彼のオッドアイに焦りが含まれているのが見えて本気で心配して探してくれたのだと感じた
「ごめんなさい」
私の目の前で立ち止まる焦凍くんに謝罪を口にする
そして、付け加えるように
「…あと、昨日のことも」
と、言葉が消え入りそうなほど小さな声で伝える
オッドアイが揺れ動く
左目元のケロイドが痛々しく存在を見せる
そんな私の言葉に焦凍くんは目を見開きながら言葉を詰まらせた
遠くで聞こえていたサイレンの音がやけに大きく聞こえる。静寂が流れ始める
「…なにしてたんだ？」
「祖父の山でランニングを少し」
蝉の合唱がBGMとして活動する
焦凍くんの声がどことなく柔らかくなった気がして視線を靴先から上へと戻す
私の答えに溜息を吐き出した彼は、少し何かを考える素振りを見せたがその直後、口を開いた
「…少し俺の昔の話を聞いてくんねえか」
問いかけでも疑問文でもない独り言のような言葉が耳に届いた
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砂時計(プロフ) - yuikaさん» コメントありがとうございます。この度はこの作品を見つけて下さり嬉しい限りでございます。そのお言葉を糧に細々と更新をしていこうと思ってますっ、これからも何卒お付き合いのほどお願いします(〃▽〃) (2021年8月19日 20時) (
レス) id: 3e29fdde61 (このIDを非表示/違反報告)
yuika(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！思わず一気に読んでしまいました、、、！これからも頑張ってください！！！ (2020年3月29日 15時) (レス) id: 090e0c37e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：砂時計
| 作成日時：2020年1月21日 1時
