手のかかる後輩くん【二口堅治】

□25．end ページ26

「は、はぁ！？」



熱かった頬が

さらに熱くなる



うるさく加速する鼓動



視界に映るのは意地悪、微笑む二口





「散々、俺先輩に振り回されました」


「先輩も俺のこと好きなんですよね？」



なら、問題なし

と


にこりと

貼り付けた笑みを浮かべ


私の方に再び迫る、彼。



咄嗟に後ろのソファーへと後ずさるが




「…あ」


「逃げ場なくなりましたね」




二口の体と
ソファーに挟まれてしまった。



段々と近くなる彼に

恥ずかしいと首を振るが





「先輩、俺のこと嫌いですか？」



彼の甘い声と
真剣な視線に


身動きがとれなくなる。




「き、嫌いじゃ、ないっ」


そう呟いた瞬間

心の準備すらさせてもらえず



「んっ」


重なる、唇
触れ合う、熱


驚く思考と
目の前に意地悪に微笑む後輩



小さなリップ音共に

離れていく二口の顔



一瞬の出来事でなにがなんだかわからなくなる思考。



このまま溶けてしまうのでは

と、思うほど揺れる心臓。






「ほんと先輩、ずるいです」



真っ赤になった私を見下ろしながら


後輩は、小さく呟いた。









今日の出来事は



手のかかる後輩くんが

手のかかる彼氏くんへと




かわりました。






end

□．あとがき→←□24

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す