手のかかる後輩くん【二口堅治】

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「二口、ナイッサー！」




ボールを弾く音

シューズの擦れる音

人の乱れる呼吸




すべてが入り交じるコート。





時間は過ぎ
すっかり空は暗くなっていた。




部活の時ぐらいは
ちゃんとマネージャーとして接するように心掛けている。



ちゃんと、ドリンクも渡した。




相変わらず
向こうは私を避けている感じだけど



その行動にすごく胸が痛くなったのは内緒。






バレーをしているときの二口の顔はとてもいきいきしていて


本気でバレーボールが好きなんだと思う





そういえば
お昼のときに鎌先が


「まあ、俺らに任せろ」


なんて言ってたけど


あれはなんだったのだろうか？




なんて得点をつけながらぼんやり考えていたら




ゲームの終了を示す

ホイッスルが得点と共に響いた。







騒がしくなる体育館内

そんな合間を掻い潜る。



部員達のボトルを回収して回りそのまま水道の方へと向かう。




束ねている髪の毛が揺れる

緑の葉が見え隠れするのをレンズ越しの目で確認する。




洗剤をたくさん流し込みながら

ボトルを洗い始めた。





時折、側を通り過ぎる部員達が



「お疲れ様です」



と、言い残し去っていくのを見送った。









「みんな帰ったのかな」


洗い始めて10分は経っただろうか。


体育館を出ていく人が途切れたのを確認していた私は水道の蛇口を閉め



心の声が漏らす。



静かになった体育館にもどると




次の瞬間目に入ったのは







「…、鎌先さんに送れって言われたんで」


「はやくして…ください」






視線を私から逸らしている二口の姿だった。

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