手のかかる後輩くん【二口堅治】

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コートの中心に集まり
監督の話を真剣に聞く部員達の姿が目に映る。



桃色の花びらが奇麗に散っていく中
今日もここ伊達工業の体育館にたくさんの音が交差する


休日ということもあり
学校の中で体育館だけが騒がしく活動しているように感じる





たくさんの新入部員もはいり

新たな鉄壁で全国を目指し始めた、皆。



比較的、高身長なメンバーのなか

若干少し小さめなキャプテンの茂庭の後ろ姿にまだ余裕がないという心境が感じられる




でも、そんな茂庭の肩を支えている
3年の鎌先や笹谷の横顔になぜか私も笑顔になる




部員達がゲームで使っていたビブスを拾い集め

素早く、持って帰るように袋へとまとめる。


春らしい暖かな風が開け放っているネット越しのドアから入り込む



マスクをしている私の頬
一つに束ねている髪の毛


全てをくすぐって行った。





さて。モップをかけよう


なんて思いながら倉庫へ向かおうとした次の瞬間







「「おつかれっしたぁ！！」」



静まり返っていた
体育館に大きな声が響き渡るのを合図として


一斉にたくさんの音が混じりあいだす。



心の中でお疲れ様でした

と、呟きながら倉庫へと再び足を動かそうとした





その直後


伊達工のなか一番手のかかる後輩





「葉鳥先輩、トスあげてくれませんか？」




二口堅治が満面の笑顔を浮かべて歩いて来た。






今日は帰って買い物に行って
新しく考えた建築デザインの模型を製作したいと思っていたため




どうしようか少し口籠る


でも、




「……いいよ」





なんかいつもより彼の行動が可笑しいとは思ったものの




こんなに頑張っている後輩の努力を踏みにじりたくない


先輩としての一心で承諾の色を見せると





お礼を言いながらボールカゴの方へと歩いて行った。





この時点で彼の企みに気付いていたら

さらに苦労することにはならなかったのかな

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