その花が咲くとき【文豪ストレイドッグス】 (ページ7)

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第六話ページ7

「遊びましょ」

何処からか聞こえた少女の声

そして、いつのまにか辺りは、極彩色の玩具箱のような空間に変わっていた

『何これ…凄い』

Aは目を輝かせ見渡す

「君はいつでも呑気だねえ」

彼女の側にいた鴎外はやれやれと肩を下ろした

「みなさんようこそ、アンの部屋へ」

周囲に向かってひとりの赤毛の少女が挨拶を始める

「あら嫌だわ、こんな沢山の方たちに見つめられて。あたし初対面の方とお話しするの苦手なの。でもダメね、ちゃんと説明しなくちゃ、皆さんお困りだわ。だってこんな見知らぬ場所に突然連れてこられたんですもの。あたしだったら心臓が飛び跳ねてしまうことでしょう」

彼女にひとりの少年が声をかける

「ナオミはどこだ」

少年谷崎潤一郎はかなり気が立っているようであった

「あらご免なさい。その説明が最初よね。探偵社の皆さんは、あちらよ」

『探偵社？』

赤毛の少女の言葉に、反応するA

鴎外の方を見つめるが、彼は静かに赤毛の少女と谷崎を見つめていた

赤毛の少女が指差した方には、扉があり、扉についた窓から中が見えるようになっていた

谷崎が扉の方を見ると、探偵社の仲間や他にも数名の人間が巨大な人形の手に握られ、拘束されていた

「賢治君、ナオミ！」

谷崎は扉を開けようとするが、その扉は開かない

「くそっ、ナオミ！」

「鍵なしでは開かないわ…開くのはあっち」

赤毛の少女は反対側にある扉を指差した

谷崎と共にいた中島敦はそちら側の扉に駆け寄り外を見る

窓の外は先程までのヨコハマの街だが、人も車も全ての時間が止まっていた

「あたしの名前はルーシー。ここはあたしの異能力で作った空間なの。でも安心なさって。いつでもその白いドアから出られるわ…。お仲間を取り返したくなければですけど」

「どうするつもりだ？」

ルーシーに谷崎が問う

「簡単よ。この部屋のアンと遊んでいただきたいの…いらっしゃい、アン」

不思議な光に包まれるルーシー

そこから巨大な少女の人形…アンが出現した

『何あれ…』

Aはあんぐりと口を開けた

「アンは遊ぶのが大好きなの。少し甘えん坊だけど可愛いのよ」

アンの片目から青い閃光が放たれた