その花が咲くとき【文豪ストレイドッグス】 (ページ21)

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第二十話ページ21

探偵社・組合・ポートマフィアの三社が対立する忙しい中、Aは別の案件で仕事に出ていた

ポートマフィアのフロント企業が、敵対する組織に襲撃されたようで、その組織を潰す任務であった

『ここで大丈夫。30分しても出てこなかったら、突撃して』

彼女は引き連れてきた部下に、そう伝えると、1人で敵の拠点に入っていく

暫く歩くと、ひとつの扉の前にたどり着く

ノックを二回ほどし、ドアノブを回す

部屋にいた30名ほどの注目が一気にAに集まった

『こんにちは』

彼女はどこからか、一本の刀を取り出す

敵は急いで銃を構えようとするが、一同動きを止め、あたりを見渡した

そこはいつもの拠点の風景と変わりない

しかし、あたり一面に、赤い彼岸花が咲いていた

床、机、ソファ、、、所かまわず咲いている。

そして、その花に触れる度に足に切り傷ができ、激痛が走る。

花を押しつぶすもの、蹴るもの、手で払うもの、各々が花を散らそうとするが、それはできない

ただただ傷が増えていくだけである

『あんまり動かない方がいいよ。毒が早く回る』

「毒だと？」

ひとりの男がAの言葉を聞き返す

それと同時に、周辺から悲鳴が上がり、バタバタと倒れていく

先程の男が倒れていく仲間を見て慌てだす

銃を構え、銃口をAに向け、発砲した

銃弾は、Aの頬をかすり、後ろの壁にめり込んだ

発砲した男を含め、先程まで立っていた敵対する組織の連中は、すでに全員屍となっていた

彼らは足や手に切り傷があり、血管が黒くはれ上がっていた

Aは無言でその場を立ち去り、外で待つ部下の元へ向かう

一人で敵組織に乗り込んでだいたい15分の出来事であった

『片付けだけよろしく～』

Aはひらひらと手を振って去っていく

その後ろ姿に、頭を下げる構成員一同

これが彼女の実力であり、幹部候補に名を挙げる理由であった