その花が咲くとき【文豪ストレイドッグス】 (ページ13)

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第十二話ページ13

けたたましく響くクラクションの音

そこは元いた交差点であった

突如現れた敦や奥の部屋で囚われていた人たちが倒れ込んでいる様子を周囲の人間が遠巻きに見ている。

「はあ…」

敦は安堵のため息をついた

そして、道の向こうにいるルーシーを見つける

座り込んでいる彼女に歩み寄り声をかける

「あの、君！もし僕に何かできることが…」

涙を浮かべた彼女は、敦を睨んだ後、何も言わずに走り去った

そんな状況はお構いなしに、鴎外が安堵とともとれる叫び声をあげた

「あああ、エリスちゃん！」

見れば鴎外のそばにはエリスがいた

「もう、大丈夫だったかい？どこに行っていたのだい？心配したのだよう、突然いなくなるから」

「急に消えたら、リンタロウが心配するかなぁと思って。リンタロウを泣かせたくなった」

エリスは可愛らしい声で非道なことを云い放った

「ひどいよエリスちゃん！Aちゃんも心配していたんだよ！」

鴎外は少し離れた位置にいるAを指差す

知り合いに思われたくないと思い、距離を取っていたのに、これでは意味がないと肩をおとすA

3人のやり取りを見ていた敦の背中に何かが当たる

「鏡花ちゃん？迎えに来てくれたの？」

「心配した」

そこには先日マフィアから抜け、探偵社に入った泉鏡花がいた

「ありがとう」

敦は彼女に優しく微笑む

其処へ鴎外とエリス、そしてAが声をかける

「それでは私達は失礼するよ。」

「先程はアドバイス、ありがとうございました。そう云えばお医者さんなのですか？」

「元医者だよ、今は小さな寄合の仕切り中年さ。少年、どんな困難な戦局でも必ず理論的な最適解はある。混乱してヤケになりそうな時ほど、それを忘れてはいけないよ。」

「はい！」

「ではでは」

立ち去っていく鴎外たちを見送る敦

「困難な時でも、道はある、か…」

鴎外の言葉を噛みしめるように口にする

鴎外が立ち去ったあと、その場に崩れ落ちる鏡花

敦は鏡花の異変に気付き、声をかける

「鏡花ちゃん？どうしたの？」

しゃがみこんでいる鏡花の顔は、恐怖で強張り、その身体は震えていた