その花が咲くとき【文豪ストレイドッグス】 (ページ12)

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第十一話ページ12

「なにっ！？ドアは確かに閉まったはずなのに…どうして！？」

ドアにしがみついたままの敦が苦しそうに云う

「君の見落としは一つ…この戦いは最初から二対一だ」

扉の奥の部屋の中、谷崎が手を掲げて異能力を発動させている

「ドアが開いた瞬間に、谷崎さんの細雪で扉の映像を擬装した」

「そんな…そのうえ部屋に吸い込む力に腕力だけで抵抗するなんて…」

困惑するルーシーに敦が続ける

「君は思い違いをしている。僕は強くも人気者でもない。むしろ生きることはずっと呪いだった。だから他人を妬み怨む君の気持ちはよくわかる…。本当は君にこの作戦を失敗して欲しくない、居場所を失って欲しくない！でも、僕には他の方法が思いつかない！」

いきなり、ルーシーの体が、奥の扉に向かって、引っ張られていく。

彼女の体にはリボンが結ばれていて、その端を敦が握っていた

「これは…」

「リボンを君に結んでおいた。」

リボンで引き寄せられ、ルーシーは敦の腕に捕まれられる

「異能力を解除して皆を解放しろ、でないと君を奥の部屋に引きずり込む。鍵が無ければ扉は開かない。なら、君が幽閉されれば、扉を開けられる者は誰もいなくなる。そうなってから能力を解除しても君は元の世界に戻れない。違うか？」

「それは…」

「異能力は便利な支配道具じゃない。それは僕がよくわかってる。自分の創った空間に死ぬまで、いや、死んだ後も囚われ続けたいか？」

「あ、あたしは、失敗するわけには…」

「今から手を離す。決断の時間は扉が閉まる一瞬しかないよ」

「ダメ、待って…」

敦は、扉の枠から手を離す。凄まじい勢いで奥の部屋へ引き込まれていく敦とルーシー

そして…