キム・テヒョンには騙されない。

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遡ること一週間前。








私は、この体育用具室にいた。






球技大会の練習で体育館にいて、練習も終わりボールを直そうと用具室に入った。








体育用具室には、リュックと制服のブレザーがぽつんと置き残されていた。







『誰のだろ…あ、』









リュックにつけられたくまもんのマスコットを見て、一気に心臓の鼓動が早くなった。









悪趣味とも言われかねないほど大量のくまもんのマスコットをリュックにつけてる人なんて、うちの学校に一人しかいない。









『ユンギ先輩…』








ミン・ユンギ。
うちの学校の超有名人。



バスケ部のキャプテンであり、エース。







私の、好きな人。









無意識だった。







気づけば自分の手は床に置かれたブレザーに伸びていた。









『ユンギ先輩の匂い…』






思わずブレザーに顔を埋めると、ガラリ、とドアが引かれる音がした。









「あれ？ちょっと面白いとこ見ちゃったかも。」








頭が真っ白になった。









恐る恐る振り返ると、ヘラヘラとした笑みを美しい顔に貼り付けた男がそこにいた。









「何してたの？キム・Aさん。」









『キム・テヒョン…』









それが、私とキム・テヒョンとの最初の会話だった。

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