35 ページ35
阿伏兎さんは少し考え込んだように頭をかき、
「お前さんは世で言う“賞金首”なんだよ」
しょ、賞金首……??あまりに縁のなかった言葉に疑問符がぽぽぽ、と頭上に浮く。
「あー…いや、犯罪とかじゃなくてな
この前科学者夫婦の娘知らねぇかって聞いたよな?その娘ってのがお前さんだ」
科学者夫婦の娘。
確かにその存在について以前聞かれたことは覚えているが、心当たりが全くないのだ。
唖然としていると、
「お前さんはかなり貴重な人材でな、今行われている夜兎狩り、その何つーか原因になった実験してた夫婦の娘なんだよ」
理解が追いつかない。
「夜兎を人工的に作り出す薬の開発ってやつでなぁ、そんでもってその薬が何とも恐ろしい劇薬なんだが耐性を持ってるのがお前さんだけなんだとよ」
だけなんだとよ、と言われても。
私の両親が夜兎狩りの原因の研究をしてたって
……。
あぁ、だから無駄なくらい財産があったのか。と言うのも科学者、というのは予算を含め援助がかなりされるらしいのだ。
でも、私だけにどうして耐性があるのだろうか。気にならないわけもなく、その理由を聞いてみる。
「生まれたときから少しずつその薬を飲ませていたとか何とか。」
気まずそうに言う。
ほとんど記憶のない両親。彼らの事を知りたいと思ったことはあったけれど、周囲の人達が温かく接してくれたこともあり、寂しさはなかった。
だからこそ、彼らについて深く知ろうとはしなかった。ただ、莫大な財産を残したと、それだけの事しか知らなかったのに。
十年以上経って知ったのは、実験の中に自分が組み込まれていたという想像もしなかった事実で。
困惑が隠せないでいると、ばつが悪そうに阿伏兎さんは一度目を伏せ、口を開いた。
「まぁ、つーことだから団長は一応命の恩人のお前さんを実験台にされねぇように、ここに連れてきたってわけだ」
「神威が……」
ま、そういうことだから、なんて言って部屋を出て行った。
56人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Alice(プロフ) - とっても面白いです!続きがめっちゃ気になります! 更新大変だと思いますが、頑張ってください!応援してます!(*´∀`*) (2014年7月17日 16時) (携帯から) (レス) id: d0e076cb76 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜舞 - Gypsophilaさん» ありがとうございます嬉しいです! (2014年7月12日 1時) (レス) id: 64c8e5ca48 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜舞 - プリスケ侍さん» ご指摘ありがとうございます!変換ミスです!これからは気をつけます! (2014年7月8日 18時) (レス) id: 64c8e5ca48 (このIDを非表示/違反報告)
Gypsophila(プロフ) - 面白いです。もっと評価されるべき。更新待ってます(*´艸`*) (2014年7月8日 17時) (レス) id: efe787c0ec (このIDを非表示/違反報告)
プリスケ侍 - 真選組ですよー (2014年7月8日 17時) (レス) id: 3b18512e15 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ