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メトロハットと巨大な蜘蛛を抜けたら見えてくる、半透明の建物こそが大光の目的地だ。
やってやると意気込んではいたものの、本当に最終候補に残れるとは思っていなかった。
大光にあるのはダンスと、父に教えてもらっていたドラムだけ。あとは普段通りに審査員と会話していただけで8000人の中の20人にまで残った。
可愛い顔に生んでくれたかーちゃんのおかげでもある、と思っている大光は、合格したらケーキをワンホールプレゼントすることを決めている。
ここから2ヶ月強、大光たち最終候補者は様々なアピールを行いながら視聴者からの票を競う。最終的に新メンバーを決めるのは視聴者なのだ。
テレビ局に入り、入館受付のためにペンを握る。
「C901ってどこですか？」
隣では背の高い青年がそう尋ねていた。
その部屋に行くなら、大光と同じDreamingの候補者だ。視線に気づいた彼が顔をこちらに向けて、大光は息を飲んだ。
「きみも、Dreamingのオーディション？」
関西訛りでそう尋ねるのは、Dreamingを散々生で見てきた大光でも驚くほどの美少年だった。
「一緒に行きましょ。僕、道枝駿佑です。名前、なんていうの？」
「た、たいこ…」
「太鼓？ええな、むっちゃ覚えやすいやん」
訂正しようと思ったが、ケラケラと笑う彼の顔に見惚れている間にエレベーターは目的の階に着いていた。
スタッフが名簿を持って待っている。
「道枝駿佑です。彼は太鼓くん」
「…は？」
「いや、あの。佐々木です」
「あぁ、はいはい」
時間通り来たのは彼と大光くらいのようで、会議室内のほとんどの席は埋まっていた。
大光が駿佑と隣同士に腰掛けてしばらく、廊下をバタバタと走る音が聞こえた。
「ごめんなさい、寝坊しちゃって！」
「大丈夫だよ。佐藤くんだね？」
「はいそうです！さとーりゅーがです！」
そんな会話が扉の外で聞こえ、バタンと扉が開く。
りゅーが、と名乗った舌ったらずの声から相当小さい子供を想像していたが、彼もまた駿佑のような輝く美貌を持つ長身の美少年だった。
でも怯んでなんかいられない。
(待ってて、作ちゃん)
この世界に飛び込むのは怖い。
だが、龍斗が人々から忘れられることを望まないのなら、誰にも龍斗のことを忘れさせたりしない。
素敵な夢と楽しい思い出をたくさんくれた龍斗は、大光にとっても唯一無二の親友で、アイドルだったのだ。
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LIKKA(プロフ) - →いつも励まされております。これからも未熟ですが楽しんでいただけたら感無量です。 (2020年5月28日 0時) (
レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - 呑さん» いつもありがとうございます！また勿体なきお言葉を…岸くん確かに何気に初ですね、今回メンカラ紫祭りです。アイムドール、本当にすみませんでした。続き書こうと思っていたのですが事情があってちょっと変化させました。それでも楽しんでくださって→ (2020年5月28日 0時) (レス) id: 39c1d8fd7b (このIDを非表示/違反報告)
呑(プロフ) - LIKKAさんのお話は全部苦しいくらいに好きで好きで仕方ないのですが、このお話本当に大好きです。個人的にLIKKAさんの初岸くんに歓喜しております。アイムドールもドキドキしながら読んでいたので、そのドキドキを拾って頂いた気がしてます。大好きです！！！ (2020年5月27日 23時) (レス) id: 2d1b1a1819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：LIKKA | 作成日時：2020年5月23日 1時
