届かない虹 VI

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日「可愛すぎてどきどきした。」

『…酔ってる？』



みつくんはあまり顔も赤くならないし酔ってるかどうかよく分からない。

ただ、私の顔を見てにっこり笑うみつくんの様子がいつもと違うことは分かる。



どきどき、と音を立てる心臓。

何気なしに言ってるたわいない言葉だってわかってるのに分かりやすく照れる自分が嫌になる。



浦「…相変わらず日高くんは違いますねー。」

西「イケメンはね、言うことがね。」

宇「やだー、なんかちゃらーい。」

日「えー、本当のことなのに。」



相変わらず私から視線を外さないみつくんにどんな顔をすれば良いか分からず目をそらす。



日「うわ、さくらちゃん照れてるー？かっわいいなー」

『わっ！』




いきなりみつくんの手が伸びてきたかと思えば頭をわしゃわしゃと撫でられる。




『ちょ、みつくん、』

與「…日高絶対酔ってるやろ。」



呆れた声を出したしんちゃんが私からみつくんを引き剥がす。



日「酔ってないって。あ、もう空じゃん。次あけよ、次。」



みつくんにこんな顔させるのは

こんな風にかき乱すのは



長谷川さんなんだ。




そんなことを再確認して苦しくなる。



末「…らしくないな。」



ずっと黙って何も言わなかった秀ちゃんがまっすぐみつくんを見る。




末「なんなの、そんなに長谷川ちゃんとさくらが鉢合わせたらまずかったの？」

日「何の話だよ。」

末「だってあからさまにおかしいじゃん。」



與「なんかあったん？」


後ろから小声で私に耳打ちしてくるしんちゃんに曖昧に笑う。


秀ちゃんの言葉に最初はへらへら笑っていたみつくんの顔が険しくなる。


日「別になんもないって。」

末「なんもないって態度じゃねーし。」

日「…秀太に関係ないだろ。」

末「じゃあせめて気使わせないようにしてくんない？いつもと違いすぎて嫌でも気になるわ。」

宇「まあまあ。せっかくの新年会なんだからさ！やめようよ！ほら、日高くんグラス貸してワインついであげる」


間に入った宇野ちゃんがみつくんのグラスに手を伸ばすけどみつくんは秀ちゃんを見つめたままで。



日「八つ当たりすんなよな。」

末「はあ？」

日「嫉妬だろ。俺が気づいてないと思った？」

西「おい、日高。」

末「…分かってやってんだ？」

日「だったらなに？」


目の前で繰り広げられるよく分からない会話。

怒りを前面に出すみつくんは少しだけ怖い。

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