418 ページ31
ー…………
…苛々する。
日「さくらちゃん？大丈夫？」
『うん、ありがとう。』
みつくんが差し出してくれたペットボトルを受け取りながら精一杯笑う。
AAAとしての仕事。
久しぶりにみんな揃っての撮影。
いつもだったら楽しくてワクワクしてる時間のはずなのに心の中のもやもやが晴れなくて。
苛々してるような、焦っているような、緊張してるような。
変な気持ち。
ずっと女優としての仕事は話をもらって受けてきた。
ありがたいことに最初からこの役にはあなたが良い、と指名されてきた。
女優の七瀬さくらとしてオーディションを受ける。
それは初めてのことで、実を言えば2週間以上前から吐きそうだった。
社長がすごく期待してくれている。
歌手の役だから、この役を取れれば多分もっと沢山の人に歌っている私も知ってもらえる。
その先はきっと、AAAにも繋がる。
社長はそう言って笑ってくれた。
まるで私がこの役を取れるのは当たり前みたいに。
だけど一緒にオーディションを受ける人達の名前を見て唖然とした。
国民的人気女優の方ばかり。
その中に、大阪さんの名前を見つけた時の私の気持ちはうまく言葉にできない。
私は、この役を取らなきゃいけない。
きゅっと握りしめた手の中でオーディション用の台本の端が折れる。
ー 1番応援してる。
大阪さんに優しく笑う秀ちゃんの声が頭に響いて慌てて首を振る。
集中、しなきゃ。
日「もうすぐさくらちゃんの撮影だけどいける？」
『うん、平気。ありがとう。』
日「…顔色悪いよ？」
『久し振りの撮影だから緊張してるのかも。』
相変わらず心配そうに私を見ているみつくんに無理やり笑いかけて立ち上がる。
向こう側のセットで撮ったばかりの映像を確認している秀ちゃんと宇野ちゃんが見える。
小さく息を吐いてセットに向かう。
マ「七瀬ちゃんストップ。チーク足すね。」
宇「さくら可愛いー。」
宇野ちゃんの声につられたように秀ちゃんが顔を上げる。
絡んだ視線がゆっくりずれる。
集中。
ス「もう少し口角あげられる？」
ス「次視線ずらしたバージョンでいこうか。」
ス「立ってやってみよう。」
たった数秒のカットだって何度も何度も撮り直す。
いくつものパターンの中から1番雰囲気にあう、私らしいものを選んでくれる。
そうやって、１つの作品が出来上がる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 558人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましゅ(プロフ) - おかえりなさい、であっているのか分かりませんが待ってました。本当にこうやってまたsakuさんの執筆されるのが読めると思うとワクワクです。これからもsakuさんのペースで更新していってください。 (2019年8月6日 22時) (
レス) id: eadb1e86ec (このIDを非表示/違反報告)
rano(プロフ) - sakuさんのペースでこれからも頑張ってください！！ (2019年5月22日 23時) (レス) id: 84b15d4196 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 初めまして。毎日来てはいちから読み直してます！いつも感動させられてます！更新楽しみにしてます！ (2019年4月3日 19時) (レス) id: 7a71984a73 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - さなっちさん» わ〜〜！！気づきませんでしたありがとうございます！修正しました（ ; ; ）頑張りますので完結まだぜひお付き合いください〜〜！更新遅くて本当にごめんなさい！！！ (2019年3月28日 7時) (レス) id: 62025c77a8 (このIDを非表示/違反報告)
さなっち - はじめまして。 この小説、とても共感しました。 お話の番号が395から369になっていましたが大丈夫ですか？ 続きが、すご〜〜〜〜〜く気になります。sakuさん、頑張ってください！応援してます。 (2019年3月25日 22時) (レス) id: c90a3cc57a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：saku | 作成日時：2018年6月18日 20時
