彼に近づく方法【佐久早聖臣】

7.都合のいい女 ページ7

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次の日。今日は本当にたまたま。偶然だ。
登校中、佐久早くんに会ってしまった。



「なんであんたがいるんだよ」
「いやいや、私この時間が普通の登校時間だから！佐久早くん朝練は？」
「今日は休み」



憎まれ口を叩かれても、会えて嬉しい。
話しかけてくれて嬉しい。
私は、やっぱり佐久早くんのことが………。



「……この前のお菓子、うまかったって言ったら、彼女喜んでた。…ありがとう」



“彼女”という言葉にはやっぱり胸が痛む。
私はとっくに失恋しているはずだ。
けれど、どうしても彼のことを諦めることが出来なかった。



「……あんたが、都合のいい女でもいいって言うならなってよ。色々と…頼みたいこととか、相談したいこと、あるから」

「それってデートとかもあったりする？」
「ないだろ。とりあえず今日うちに来てよ」



お家に呼ばれるのも立派なデートだと思うんですけど。
捨て身で近づいたけど、まさかこんなことになるなんて思わなかった。
彼と私の、奇妙な関係が始まった。



「お邪魔します」



予想通りのきれいなお家。
無駄なものが何もなくて
塵ひとつ落ちてなさそうな。



「………そこ、アルコール除菌あるから、手につけて。あと、玄関で一回埃払ってね。靴はこのビニール袋に入れて。スリッパはこれ」



差し出されたのは使い捨てスリッパ。いやぁ、徹底しているなぁ。
なんて、なんだか感心してしまう。

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