5.誰かの思い ページ5
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彼から色々話してくれた。
少し近づくことができた。
と思ったのもつかの間だった。
「彼女がくれたんだ」
その一言に。
彼女、いたんだ…。
けれど、彼女から貰ったものをストーカーの私なんかに食べさせるって?
「え、どういうこと?」
「俺…他人の手作りとか食えないから、あんたが食って感想教えてよ」
「私はいいけど…彼女にそう言えばいいんじゃないの?」
そう答えると。
マスク越しにも少し頬が赤く染まるのが見えた。
「そんなこと言って…傷つけたくないし、嫌われたくないから」
胸がぎゅっとなった。
彼女がいたのも辛い。
けれど、彼は本当は優しくて純粋な人なんだって
知れたことが嬉しかった。
都合のいい女でもいいって言ったのは私だから
彼が喜ぶなら…なんだってしようって決めた。
「わかった、じゃあ食べるね」
私は可愛い包みを惜しげもなく破ってクッキーをほおばった。
「…別に今じゃなくてもいいんだけど…」
「そう?でも、早い方がいいでしょ?あ、美味しい!」
ふわりと広がる、優しい味。
彼のことを思って、作られたお菓子。
彼女のことを思って私に食べさせた彼。
じわりと涙が出てくる。
「泣くほどおいしいの?」
「う、うん、美味しいよ。これ、はちみつ入ってるかも。甘さは結構控えめでね、でも優しい味がする」
彼が彼女に感想を聞かれたときに困らないように
なるべく細かく味を伝える。
「…ありがとう。助かった」
佐久早くんはうつむきながらそうつぶやいた。
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茜(プロフ) - フェロカさん» はじめまして、コメントありがとうございます!こちらこそ読んでいただいてありがとうございました。楽しんでもらえたならよかったです。これからも更新頑張ります! (2020年1月19日 21時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
フェロカ(プロフ) - 初めまして、佐久早聖臣の小説を作ってくださってありがとうございます。とても最高でした。これからも楽しみにしてます。 (2020年1月18日 23時) (レス) id: e2914cfac7 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» コメントありがとうございます!純粋な感じではないのに素敵と言っていただけて嬉しいです。佐久早くん良いですよね!読んでくれてありがとうございました! (2020年1月14日 9時) (レス) id: d956429f3f (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - りんねむさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです! (2020年1月14日 9時) (レス) id: d956429f3f (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - ひえ……この決して純愛でも綺麗でもない恋愛の感じ…新鮮で好きですエモいです…。佐久早聖臣の小説少なすぎるので供給ありがたいです〜!とっても面白かったです!素敵な作品ありがとうございました…! (2020年1月13日 2時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜 | 作成日時:2019年12月16日 22時