WILD DOCTORＳ 3

赤いが怖いの謎 ページ48

「絵美さん、一度空飛君の治療見てみま
せんか？
　別の部屋からみれますから。」

今市先生に言われて頷いた。

「ここのところ、例の赤いページが怖い
の真相を確かめようとやってるんです
よ。」

それで、治療のあとぐったりして、その日の夜はうなされてるんだね。

赤いは火や炎に繋がってた。
今でも空飛君は例えライターやマッチの火でもかなり怖がる。

そして、病院の近くで起こる火事に出動する消防車の音さえ空飛君を眠れなくする。

前に一度、何台も消防車が出て大きな家事のとき、震えていたから一緒にベットに座り、両手で耳を塞いであげてたら空飛君は無意識に

「熱いよ、助けて、死んじゃう。
　怖いよ、熱いよ。」

と繰り返したあと

「ごめんなさい、許してください。
　ごめんなさい、ごめんなさい。
　死にたくない、死にたくない。」

ブルブル震えてつぶやいてた。

今度はしっかり抱きしめて

「大丈夫、大丈夫。
　空飛君は死なないよ、ちゃんと生き
て、大きくなって、自由になるよ。」

涙が出た。こんなことだめだよ…。

それを今市先生に伝えて、先生はゆっくりと赤いベージに異常に反応し、パニックになるその本当の意味を知るべく、カウンセリングを続けて下さった。
そして初めて見に来ませんかと言ってくれた。

想像を超えることが出てくると感じている。
怒りでこちらがおかしくなるくらいの…。
その日のカウンセリングには、私、けいたん、大樹、寺辻先生の四人が見学で、全員隣の部屋。
あちらからは見えない窓から様子を見ることになった。

少しずつ今市先生が空飛君の記憶の時間を戻していく。
1年ぐらい遡ったときにあの

「熱い、熱いよ…」

の言葉が出てきた。
今どこにいるの？
　お風呂場の中…

入れられたの？
　怒られるといつもそう。
　何日ものときもある。

お父さん何してる？
　ライターをバチンパチンって。
開たり締めたりしてる。

うん、それから？
　僕が助けてってドアを叩いて
それが気に入らなくて…
　なんか臭い水を持ってきてお風呂場にこぼした。

臭い水？まさか…
自分の子供だよ？

それから？
　マッチ投げた。
　そしたら大きな赤いのが僕を追いかけてきて
殺そうとするから熱くて痛くて…。

空飛君の手を今市先生がしっかり握っている。
　
死んじゃうから助けてって何回もパパに言ったけど、パパも逃げて行っちゃったんだ。
ぼくは…熱くて…お風呂に溜まってたお水に入って…

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