WILD DOCTORＳ 3

春ちゃんの反乱 ページ37

「絵美ちゃん！春がいない！」

わざわざ外来まで裸足でかけてきた空飛君は叫んだ。
診察中、それでもドアを開けて、必死だったんだろう。

けいたんは落ち着いてて、診察中の保護者の方に謝ってから

「空飛、わかった。
すぐ大人が探すから絵美さんと部屋に
もどれ。
いいな？」

って空飛君に話したあと

「じゃあ絵美ちゃん頼むよ。」

ってお仕事顔のまま言って、診察中の女の子に

「びっくりしちゃったな。ゴメンな。
ごめんなさいであとから先生からお絵か
き帳やるからな。」

絵の好きな子だからお絵描き帳。
そこまでとっさに考えてる。
そんなけいたんを改めて尊敬した。

空飛君に色々状況を聞きながら、部屋に戻った。
やっぱりいない。

「白雪姫とお菓子がないから持ってった
と思う。
　春ちゃんのポシェットも無い。」

来た時に赤いポシェットしてた。

「わかった、空飛君。
絵美ちゃんすぐにやるから、空飛君は
ここにいて。
春ちゃんが帰ってきた時に、お兄ちゃん
がいないと怖くなるから。
その時は頼むね！」

「うん！わかった！」

病院の外には出てないと思うけど…。
すぐに手の空いてる人を集めて、探してもらうよう指示をした。
そのまま後輩に玄関の警備室でビデオの確認をするように伝えて、大樹の部屋に走った。

笑顔のまま診察中の親子に不安を与えないようにそっと入り、

「資料お借りします。」

と言って二人のファイルを取り出した。
メモで大樹に伝えて

「失礼します。」

と部屋を出てからすぐに施設に電話をしたけど、来てません見ときますと冷たい対応。

「もう頼みません！」

そう言って電話を切ってから、一応書いてある親の携帯かけたけど…、父親は着心拒否されてたし、母親も出なかった。
バカ親め！ほんとに消えろ！

走り回ってたら、院内専用の電話に見つかったから来てと連絡。
言われたところに走っていく。
向かっているのは屋上だった…。

「先輩！あそこです！」

春ちゃんは、手すりを抜けて柵の向こう側にいた。
悲鳴が上がってる。

「春ちゃん！」

「えみたん、春ね、お空に行くの。」

まだ、たどたどしい言葉でそう言って、私を見て笑う。

「お空に行ったらね、神様がいて、お腹もすかないし、痛くされないし、空飛君とも離れなくていいんだよ。
ママが、言ってたよ。」

余計なことを教えて！
ほんとにいなくなれ！

春ちゃんのポシェット→←強さに裏付けされた笑顔

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