それでもお兄ちゃん

野獣家系　from仏 ページ37

「これは、絵美ちゃんで、これは陽ちゃん、それから、これは雪花ちゃんで、愛ちゃん。
これがみおちゃんでゆきちゃん！」

月がお土産を用意してる。
先に送るものの中になるべく詰める予定だからだ。

「チビたちのおみやげはこっちが手持ちてこっちは送る。
健一のブラックフォーマルと靴下とカッターに数珠ふくさ。」

「月、それいらないって。」

「だめ！いるの。」

「男兄弟四人と愁君に大樹君。
あとは…健一のご実家と、直人さんと…ぐらいかな。」

「つーきー、もうおしまい。」

「ちょっと、そんなとこに寝ないで。
送るお洋服決めたの？
明日の夕方には取りに来るよ。」

「なきゃ買えばいいし。
月は心配性だから荷物が多いの。
なんでもあるから。
そんなことより体のほうが心配」

「大丈夫。今のところ元気だよ。」

そんなこと言ってる月を抱えてベッドに移動した。

「日本にいる間はできないからお願いっ。」

「何言ってるの、ダーメ。」

「最近ずっとだよ。まて！が長い〜！」

「そうだっけ？」

「つーきー、じゃあ本家で狼さんが来てもいいの？」

「良陽と寝ようかなぁ。」

「わかった。もういい。」

拗ねてやる。

「健一？怒ったの？
　あのね、日本でね、」

ふーんだ。知らないよ。

「健一？わかったから。
　ごめんね。待て終わるから。」

「ほんと？」

「うん、ほんと。」

「いっぱい？」

「うんうん。」

「じゃあ許す。」

こんなことばかりしてるバカップルじゃないんですよ。
ほんとに今回待て！が長くて、狼さんが洞窟のドアをガンガン叩いてくるから…。

だから美味しそうな獲物の月をそろそろ与えてくれないと危険かなぁって思ったんです。

きっと今頃日本でもうちの義弟狼さんが義妹ちゃんにしっぽをふりふり耳を出してる頃かなって狼(兄)は思うわけです。

黒沢家は基本野獣家系です。
稀に義姉曰く猛獣の啓司とか、かなり紳士な末義弟の大樹もいたりするけど、残りは野獣兄弟です。

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