それでもお兄ちゃん

チケット ページ24

「ただいまぁ。」

「おかえりなさい。」

「起きてていいのか？無理はやだよ。
　この部屋にいてくれよ。」

入院したら今度は出してもらえない。
そんな気がして月を抱きしめた。

「みおちゃんお家に帰ったんだって。
良かったよね」

「あそこもいつもLOVELOVEだから仲直りも早いな。」

腕の中の月が俺を見上げる。

「あそこ「も」って他は？」

「啓司のとこに哲也のとこに良平に大樹、将吉と愛ちゃん。」

「ふぅん。」

少し拗ねたみたいに口を尖らせてる。

「健一さんとこは別格。」

「？」

無敵の上目遣い…やばい尻尾生えそう。
でもずいぶん痩せたな…。

「LOVELOVEじゃあ収まらない。」

月を抱きあげてベッドに…。

「あ、お父様から手紙来てたよ。
　机の上に置いておいたから読んでね。」

「えー、後でいい。」

なんだかんだでご無沙汰です。
狼冬眠しそうです。

「だーめ。
大事な用だったらどうするの？
健一電話にも出ないからお手紙書いたのかも？」

くっそーおやじのばかぁ(T_T)

手紙は引っ越した家で祖父の法事をするから出席して欲しいという内容だった。
飛行機のチケットが二人分、ビジネスで入ってた。
出るわけ無いだろ。
払い戻して送金しようと思った。

「お義父様なんて？」

背中にくっついて聞くから

「じいちゃんの法事に出ろって。
　行くわけねーのにチケットも。
　払い戻して送金するよ。」

「健一だけでもでたら？
　新しいお家知らないでしょ？」

胸の前にある月の手を擦る。
血の気のない冷たい手。

「月がいるからいいの。
　月さえいたら俺はいいの。
　会いたくないし、出たくない。」

こんな弱ってる一番の原因は俺。
だけど母さんのせいでもあるだろ。
それなのに俺の甘えをわがままを受け入れてくれたのに、母さんの顔を見たら冷静でいる
自信が全くない。

「お義父様も親戚の方に顔が立たないんじゃないかな？
健一は本家の跡取りでしょ？
お義母様のことで色々言われたでしょうし、引越もして…。
もうとらわれるのやめない？
私は良いから。
健一は十分してくれてるよ。」

月は、自分がいなくなってからとか、考えていることはわかってるんだ。
だけどそんなことさせないから。

「じゃあさ、チケットあるし、黒沢の家に帰ろうよ。
みんなに会うと月は元気になる。
だから元気チャージに行こう！」

鰻→←愁とちび愁

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