それでもお兄ちゃん

愁とちび愁 ページ23

「じゃあ行ってくるよ。」

「愁、これ、持っていって。
　子供は飽きやすいから
　こう言うのでごまかして。
　あげ過ぎはだめだよ。
　ご飯はジャンクフードは控えて。」

お菓子や飴をもたせた。

「みお、優しいな。
　気を使ってくれてありがとう。」

愁はそう言うとキスして出ていった

「愁の代理の仕事いくぞー！」

スーツを着てヒールを履いてメイクを確認した。
愁を信じよう！大丈夫、私達は。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「愁太くん、ちょっといい？」

「なーに良陽ちゃん。」

「ちゃんとお利口にしないと、パパに嫌われるわよ。
ちゃんとしましょうね。」

「うん、頑張るね！」
.
.
.
「じゃあ行ってきます。」

「どの辺から行くんだ？」

「ちびが海って言ったんで、一番近い海のある駅から順に行ってみようかと…。」

「あのな、お前には小銭かもだけど、これ、絵美ちゃんと俺からだ。
昼飯代の足しにでもしてくれ。
絵美ちゃんもほっとけないだからな。」

義兄と義姉の好意をありがたく受け取って、本家を出た。

「愁太、ちょろちょろすんな。
　手繋いどけ。」

「はいっ(^_^)/」

なんだよ、いい子だな。
最初は本家の最寄り駅から５つ目。
ここから十分くらい歩くと海が見える。
歩いてみれば住んでたとこはわかるだろ。
多少顔を知られてるから、Tシャツに短パン、キャップにリュック、サングラス。
これなら若いパパで通るだろ。
スーツばかりだったから、久々にラフなカッコで楽チンだ。

駅について

「パパ切符がない！」

ちびはいらないけど、オレの切符を持たせろとうるさいから無くすなと渡したのに…。
よくよく見るとズボンのおしりのポケットに入ってた。

「これからはお前には渡さない。」

「ごめんなさい…。」

小さくなってしまった。
改札を出て手を繋ごうとしても、怯えたのか繋がない。
ちび愁の前に座ってしっかり目を見た。

「ちび、今度からはなくすなよ。
　できるか？」

「うん！」

「わかった。じゃあ手繋いで行くぞ。
　知らない街では特にだ。」

「はい！」

帽子の上から頭に手をおいた。
返事はいいんだ、返事は。

海の近くをフラフラしてちびの反応を見る。ここははずれか。

そんなことを３駅やって時間は昼

「パパ、お腹空いた。」

「もう少し待て。知ってる店ある」

「もう歩けないよぉ。」

「わがままい…」

あ、みおがくれたやつ。

「ほら、これ一つやるよ。」

飴を渡すとにっこり笑った。

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