勇者だなんて聞いてないっ！

そういうもの？ ページ5

まあ落ち着いて、とフェンリルに言われて俺は正気に戻った。
「アレクさんは勇者なんですよね？」
「ああ、まあ駆け出しというか、最弱というか……」

実際、もともとはお城の最弱兵士、生まれは平凡な商業化って言ったら、武器を持つことにすら
一生縁がない。
家計が苦しくなりつつあるとき、
「兵士募集中！」
と大声で叫びながら、多くの人に話しかけている兵士さんに出会い、なぜかすぐに、兵士として
雇われたから剣を握るようになった。


「でしたら」フェンリルは続ける。
「回復役の僧侶、または魔法使いでもよいでしょう。どちらかは必ず必要です」
そういうもんなのか？
「どう違うんだよ、僧侶と魔法使い」
「僧侶は回復魔法を得意とします。また、補助魔法も得意です。魔法使いは、魔法全般を扱うことができますが、僧侶しか扱えない上位の回復魔法もあります。なので、魔法使いは攻撃役ととらえてもよいでしょう」

何だかよくわからない。
とにかく、俺は勇者、フェンリルはパラディン。
つまり二人とも攻撃役、と言い換えられそうだ……よな？
「それじゃ、バランスよくパーティーを組むとすると、僧侶の方がいいってことか」
フェンリルは頷く。

「でも、一つ問題があるんですよ」
「何だ？」
「さっきも言いましたが、僧侶はなかなかいません。ですので、見つけられるかどうか……」
早速行き詰った。

どうしたものか、と考えていると、
「それなら、あたしを連れて行きなさい！」
やたら高飛車な態度の小さい女の子がいた。

「お前、何者？」
「あら失礼ね。あたしはミシェル。この辺では一番の富豪、チャーリーの娘よ」
あー、聞いたことある。
親父がよく名前出してたからなあ……俺たちとは正反対の家ってことで。
「あたしが小さいからって、誰も雇ってくれないの。でも、鍛錬は欠かさずに毎日してるわ。お城の外にいる魔物ならあたしの手刀で一撃よ。もちろん、魔法は中レベルまでなら全部マスターしてる」


うそだろ、こんな子どもでも魔法を使えるのか？
俺、どんだけ弱いんだよ……。
ショックで口をきけない俺に代わって
「よろしくお願いします、ミシェル。ボクはフェンリル。で、こちらはアレク。勇者です」
「そうなの。アレク、フェンリル、よろしく」


流れで僧侶が仲間入り！

ミシェル→←一人目の仲間

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