勇者だなんて聞いてないっ！

どうしろと…… ページ3

そんなわけで！
とりあえず、勇者に任命されたぜ！
拍手パチパチパチパチ……じゃなくて！
どうすればいいんだよ。

あの先輩兵士はなんも言わないし、王様はそもそも論外だし。
とりあえず、スライムぶっ倒してやる！


結論から言うと、無謀だった。
あっさり倒された。
あと少しできれいなお花畑のところに行っちゃうところだったぜ……。



城に戻るとすぐに
「お前何やったんだよ」
と先輩兵士に見つかり、包帯を巻いてもらった。

「いや、スライムに勝てませんでした……どうしましょう」
先輩兵士は一度キョトンとしてから、腹を抱えて笑い出した。
「お前なあ、仲間を集めろって！」
「仲間って言われましても……」

すると、真顔になって
「いいか、お前が勇者だから、魔法使いと僧侶はいるだろ。あとは適当だな」
「パラディンとかかっこいいですよねえ」
「バカ、一番かっこいいのは勇者だぞ？」
先輩兵士はからかうように言う。

確かに顔も平凡並だし、ダサいけど！
「まず、近くのバーにでも行ってきたらどうだ？」
「行ってきます。ありがとうございました！」

俺は走っていった。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか？」
バーのマスターっていうのか、優しそうな女の人が言う。
バーってもっと、チャラい男どもや口うるさいギャルドもが集まるところだと思ってた。
完全に俺の偏見だったんだな。

「ああ、実は仲間が欲しくて」
「それなら、まずは盾となるお方を探したらよいでしょう」
「人間盾！？」
クスクスとバーのマスターは笑って
「そんなわけありません。ちゃんと職業ですから」


そこで、パラディンを見繕ってもらったのだが……。
何故か、みんな了解してくれない。
……いや、俺にどうしろと。

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