先生、気づいて

平常心を保て、自分！ ページ5

「し、失礼します！」
学年主任の先生の後ろに続いて、職員室に入る。
「雪菜、遅くね？」
「うー……」
三上先生にも同じことを言われてしまった。
うう、自分よ、もう少し勇気を持て！
「まあよく入ってこれたじゃん。それだけでも頑張ってるだろ」
さらっと褒めてくれたから、ちょっと嬉しい。
というか、かなり嬉しいし、ちょっと恥ずかしい。

あー、また平常心を失いかけてるよ私！
しっかりしろ、職員室でバレたら終わるぞ！

「おーい、大丈夫か雪菜」
「だ、大丈夫です」
何とか返事をした。うん、偉いぞ自分。
「で、話聞いてた？」
「へ？」
間抜けな声を出してしまった。

「雪菜の作文、すごくいいから、文集の応募に出品するってさ」
「ホントですかっ！？」
嬉しさのあまり、またしても平常心を失っている私。
「どんだけ興奮してるんだよお前、でもよかったな」
「はい！」


教室に戻ると、真由が来た。
「雪菜ー、大丈夫だった？」
「いや大丈夫じゃないよ。三回くらい平常心を失いかけた」
変わってないなあ、と言ってから
「何の用だったの？」
と聞いてくる。
「作文の話」

そう言っただけで、
「え、選ばれたの！？ 良かったじゃん雪菜！」
と一緒になって喜んでくれる真由。

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