転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

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愛情と言うものを知った柚子は、桜子様の言葉で暫くの間胸を痛むのだ。

しかもその後に花梨と、花梨に唆された瑶太と猛毒両親が、柚子のいる祖父母宅に襲撃しに来るのよね。

猛毒両親の方は…あの様子じゃ花梨が何もしなくても、祖父母の住所さえ知っていれば…そして柚子が必ず遊びに来る日をマークすれば、襲撃する気満々だろう。



「早い話が、柚子様には…間違っても玲夜様から愛されようなどと見分不相応な希望は抱かぬ様に、という忠告を、花梨様の方からお伝えして欲しいのですわ」

「…いや、私なんかより、同じ鬼の一族の桜子様が」

「花嫁の言葉は絶対ですわ。それに…花梨様も申しておりましたでしょう？「あくまでも花嫁は子孫繁栄の器」と」



間違ってはいない。それは、そうなのだ。
あやかしの本能と恋心は別なのだ。



「勿論、出会いは本能でも、そこから愛を育む事もあるでしょう。あやかしは本能に抗う事は出来ません。しかし玲夜様は、それでも本当に大切な人への愛を忘れてなどおりません。

元とはいえ婚約者だった私は、そんなお2人の愛を…長い時を過ごした2人の想いを守れるのなら、お飾りの伴侶になろう……私は、心の底から2人の幸せを遠くから見守って来ました。

例え玲夜様に花嫁が見つかってしまっても…それは変わりません」


「でも…これは誰の責任でも」


「そうですわね。でも私だって意地悪で仰っている訳ではありませんわ。柚子様の心がこれ以上傷付かない為にも忠告をしているのです。敢えて花梨様…花嫁の立場を弁えている貴女に伝えたのもその為です。

あくまでも玲夜様の一番はその方である、という事を姉である柚子様に教えてあげて欲しいのです」




漫画の展開を知っている私に訪れた、現在最大の試練。
…どの選択肢を選んでも、お姉ちゃんが傷付くのは目に見えている。

しかし私が「全部桜子様の妄想だから」とか言っても、残念ながら根拠も証拠もない。

読者ではなく、ヒロインの妹(悪女)の立場となった私に出来るのは…




「あの、桜子様…そんなお願いを、何故私に？」

「？それは…柚子様の妹であり、同じ花嫁で」

「花嫁はどうだって良いんです！問題なのは私と姉さん…もっと言えば“私の家について”何も聞いていないのですか？」

「先程車の中でも申した通り、高道様から聞きましたわ。柚子様の生い立ち…柚子様が実の両親に長年酷い扱いをされていたということも」


「……私については、何も聞いていないのですね？」

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