転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

ガールズトークなんて可愛いものじゃない。 ページ34

〈side 花梨〉



あれやこれやと鬼山家の高級車に乗せられる私。


しかし…鬼山桜子様が、私に…ヒロインの悪役な妹・花梨に何の用かしら…


……まさか、軌道修正!?
悪女のくせに「何もしない」と決めた私に対して、なんかどっかの神様が怒って!?
…いやいや、だとしたら神様、そもそも私の転生先を花梨にしたのが間違いでしょ！


ど、どうする…!?あやかしのトップである鬼龍院家の次期当主が選んだ花嫁が、長年に渡り実の家族から主に精神的な面で執拗に傷付けられていたのは、もはやあやかしの世界では有名になっている……

鬼の一族からしてみれば、花梨とその両親は抹殺対象のはず。


特に鬼山家は、原作でも確か鬼龍院家を支え続けた家柄で…



……現時点では、桜子様は確か…何かの理由で柚子を良く思わなかったのよね。でも、玲夜との婚約解消は本当に「それならそれで仕方ない」と割り切ってたから…もっと、別の理由があった気がするわ。



………まぁ、だとしても、だ。



鬼の一族にとって、如何なる理由があれど花嫁…柚子は全身全霊で守らなければならない宝。



その宝を長年苦しめ続けたその中心人物である私を…
例え現時点で柚子を快く思っていない桜子様でも、その柚子の妹である私はもっと快く思っていないだろう。



……説教程度じゃ済まない、と腹を括るしかないわね。




「……花梨様」

「えっ？」

「大丈夫ですか？少し顔色が優れない様な気がして」

「あ、いえ、元気ですよ！ご心配おかけしてすみません」

「……」



桜子様の視線の先……まさかとは思うけど、私の腕を気にしている…とか？
今の所私は元気というか…むしろ痛みがない。

火傷の痕は今もくっきり残っているし、学園の皆…特に比較的そこまで強くないあやかしの生徒達からは怖い物を見る様な目を向けられる。

狐月家や妖狐一族は、驚かれはするけどその程度である。
まぁ…慣れた、というのもあるかもしれない。


しかし桜子様…流石、鬼の一族。
今までの反応の中で一番冷静だ。


…個人的には、痛みが全然なくなった、というのが気になるけど…まぁ、良いか。
痛覚がちょっと鈍っている程度で、日常生活に支障は全くないし。



「……もしかして、花梨様のお姉様である柚子様の事で、私や私達一族がお怒りになっている…と考えておられまして？」

「んんんうっ!?」



むしろ別の方面から日常生活にとんでもない槍が飛んで来そうなフラグが建ってるのよね！
防戦一方よこっちは!?

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