転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

ボロボロの狐がやって来た！ ページ19

学校という空間は、閉鎖空間だ。
狭い狭い敷地内が、学生にとっての世界だ。

だから些細な揉め事でも、大事件の様に広まる事だってある。

しかしあくまでも井の中の蛙大海を知らず。

卒業してしまえば、それまでの世界が覆る程の経験が待ち受けている。



かくりよ学園は、そう言った意味では普通の平凡な学校と比べたら色んな世界を、歴史を、人を、あやかしを知る事が出来る。

しかしそれでもやはり狭い世界に変わりはない。

そこで自分が何が出来るか、どうしたいか、どんな人になりたいか、何が出来る様になりたいか…色々考えなければならないと思う。



やはり何事も経験。
何事もチャレンジ。
出会いは大切。




そう、それが例え……




「えっ……」

「え？」

「ふぁっ!?」

「…どういう事？」





学園の中庭に、何か凄いボロボロの子狐がぶっ倒れているというプチ騒動が起きたとしても、きっとそれは良い経験値となるだろう。




「せ、先生ー！狐が！なんか白い狐が！」

「えっ!?」

「どうしたのそれ!?」

「ま、迷い狐!?」

「ちょ、妖狐の関係者！この狐何なのか知らない!?」




時は放課後のHR直後。
狐月家の車へ向かおうとした所で、悲鳴が上がったのである。

狐が迷い込んだと。

何故、狐が学園に。
これはあやかし物ファンタジーあるあるか？
あやかしの学園は狐が迷い込むのか？



「…学園に野良犬が忍び込むっていうのは良く聞くけど」

「狐は前代未聞よ…一瞬、妖狐の使役獣かと思ったけど…」

「違うの？」

「うん。あの子からはちっとも霊力が感じられないもの。だから本当の…動物園にいるキツネね」



そもそも大半の動物園はあやかしの立ち入りが禁止な所もあるのよね…
動物達の精神に異常がきたすとかなんとかで。




「どうするんだよ、この狐…もうダメじゃね？」

「助けてあげてもいいけど…」

「でもあんま触りたくないなぁ…」




何の菌を持ってるか分からない…は、確かにある。
けれど大半はあやかしの子達。ウィルスとかそういうのは無縁の筈よね。

まぁ例外があるとするなら…



「仕方ない、とりあえずは…っと」



私は未使用のタオルで子狐を巻いて抱える。



「ええ!?花梨ちゃん本気!?」

「だってまだ助かるかもしれないでしょ？瑶太、一先ず狐月家でなんとかならないかな？同じ狐仲間として」

「まぁ…助かる命ならばそれに越したことはないが」





「おやおや、何とも痛々しくか弱い子狐じゃのう」





「…ゑ？」

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