転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。弐

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「花梨ちゃ〜ん、おはよー」

「あ、花梨。おはようさん」

「あ、おはよう花梨ちゃん！」


「あっ、おはよう菖蒲、それに皆も」


当然ながらあやかしの比率が圧倒的に高いこの学園。
というかあやかしとその花嫁の為に創られたのだから当然と言えば当然だ。


とはいえど、私やお姉ちゃんの様に花嫁に選ばれる人間は滅多にいない。
何なら、私と同じ花嫁に選ばれた子は、学園内では今まで見た事がない…かもしれない。

人間もそれなりにいるけど、聴く限りでは大手企業の子息や令嬢…中には芸能人もいる。



つまり…ここは通常なら一般家庭が通う場所ではないのだ。
そもそも学費が桁外れなのだから。



で、やはりあやかしと言えど学生だ。
皆年相応なんだな、というのが感じられる。




あー……私、今まで本当幸せの中にどっぷり浸かってたんだなぁ…
前世では絶対に味わえないし味わう事も出来る訳がない、どこにでもある女子高生トークっていうのが。




「……ねぇ、何だか瑶太様…元気なくない？」
「あ、本当だ。瑶太、どうしたの？」


菖蒲達も、瑶太の様子が気になり心配する。
…瑶太って、意外と顔に出るんだよなぁ。素直で嘘吐けない所は悪く無いけど。

しかし…素直過ぎるのも実は問題と言えば問題で…



「……少し、お父様と話をしてな。鬼龍院家と、花梨の姉について色々と」



最後の部分いらないでしょ。
言わなくて良いわよ。余計な情報いらないわよ。

…なんて言う気は今の私にはない。

瑶太は確かにやらかした。
しかし…鬼による制裁と父親からの説教オールナイト…ボコボコにされた事に関しては、これは少し労わるべきか…


しかし、この後の…まさかの撫子様が狐月家にって…しかも私も同席…
憂鬱だなぁ…怖いんですけど…

生の撫子様を見れるのは楽しみではあるけど。それはまぁ読者の立場からして…だけどね。



「えっ、姉って…」
「あぁ…花梨ちゃんの天敵の」




はっ……！




「瑶太！ゴメン、少しだけ！」

「あ…？あ、あぁ…分かった」




私は菖蒲達を連れて、人気のない場所に移動する。
広い広い中庭……いやどこのホテルよ本当に。




「ねぇ、どうしたの？花梨ちゃん」

「もしかして、その姉が関係して？」

「前にバイト先見たけど、何だか気弱そうだったよねー」




「―――ご、ごめんなさいっ！」




私は菖蒲達に頭を下げる。
そう、私がすべき償いの1つがコレだ。



…この3人が抱く、お姉ちゃんに対する印象を変えないと。

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