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私のこの決断に、目を見開く瑶太。
他の人達も、それぞれ違う反応を見せる。
「そんな…花梨!どうして…私はもう大丈夫だから、だから…!」
「…色々考えたの。私、本来なら偶然でもない限りあやかしの花嫁に選ばれる事はなかったのよ。それに、今回の件で分かったけど…私は多分花嫁になっちゃいけないタイプだと思うし」
「何で、だって、あんなに瑶太を…!」
そうだね。
もしお姉ちゃんも、玲夜と離れ離れになったらと思うと…痛くて苦しくて堪らないよね。
他人の痛みを、自分の事の様に感じるなんて…だから、あやかしに見初められたのだろう。
「花梨!貴女まで何を言ってるの!今の生活があるのは、貴女が花嫁に選ばれたからだというのに!」
「お前までどうして俺達を困らせる様な事を!」
あぁ、こんな奴等はどうだって良い。
散々お姉ちゃんをイビっておいて、反省も何もしないなんて。
しかもやっぱり私を溺愛していたのは…お金だったんだな。
「…花梨。こんな人達の言葉を借りるつもりはないけど、落ち着いた方が良いわ」
「お祖母ちゃん?」
「大切な人と離れるのは、言葉にすれば簡単でも…心はそうはいかない。感情に流されてはいけないのは、そういう所よ」
「……」
お祖母ちゃんはこんな私を諭す様に言う。
お祖父ちゃんは険しい表情で私を見る。
瑶太の方は…下を向いて、何やらブツブツと言っている。
聞き取ろうとして、少し近付くと…
―――オマエノセイダ
「え?」
「…お前が……お前が、花梨を唆したから……!」
瑶太を纏う陽炎の様なもの。
これは…狐火。
そして……
「―――!」
瑶太は……お姉ちゃんに向かって勢い良く手を伸ばした。
「やめっ…!」
私は、そんな瑶太を止めようと彼に飛び掛かる。
それがいけなかった。
私が瑶太を抑えようと腕を伸ばした瞬間
次に感じたのは、温もりとは言い難い程の高温。
熱湯で火傷した時よりも、熱くて苦しいもの。
「―――あ……!?」
ドンッ、と私は突き飛ばされ尻餅をつく。
何が起きたのか分からず、目の前を直視すると
「うわぁぁぁっ!!」
瑶太が悲鳴を上げている。
その身体は炎に包まれている。
妖狐による力の暴走かと思ったが、そうではない。
何故なら、私のすぐ後ろで…
「柚子の痛みを思い知れ」
紅い瞳で瑶太を見下ろす玲夜が、冷徹にそう吐き捨てたのだから。
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氷柱(プロフ) - 真理さん» 姉妹の両親に関しては、原作でもスカッとしましたが、あれ以上に色々とやりまくる予定です。もう本当許せませんもん。しかし瑶太に関しては賛否両論覚悟ですが、救済措置を与えようか考えています。まぁこの後ドキツイお仕置きを受けて痛い思いをさせるのは確定ですが。 (12月6日 23時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» スカッととクズ共(両親と瑶太)地獄落ちの末路、期待していますよ(ニヤリ) (12月6日 21時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» コメント有難うございます。原作でも、家族の縁を切ったにも関わらず柚子に迫りましたからね…ある意味どんな幽霊や妖怪よりも恐ろしい人間です。 (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - シャリファさん» 勿論瑶太は色々とやらかしてますが、更に原作と違って、玲夜の花嫁だと知った上で柚子を害そうとしましたから、それはもう恐ろしいなんてものじゃないですね… (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - こんな奴らと、早く縁を切ってほしいね。 (12月5日 20時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年7月30日 0時