前世の記憶を取り戻して ページ5
兆候はあった。
見覚えのない風景、何だか違和感を覚えてしまう世界観
懐かしい顔、忌々しい記憶、温かくて優しい記憶
季節は少しずつ夏へ向かっているのに
何故か肌寒くて、むしろ痛くて、震えが止まらなくて
そして、強い痛み、鈍い音、燃え上がる炎、ガソリンの嫌な臭い
自分と自分が住む世界が少しずつ繋がりが遮断されていく、悲しくて寂しい感覚。
―――あぁ、どうしてこんなタイミングで、思い出してしまったの。
燃えている。
どういう訳か今も、燃えている。
だけど今燃えているのは…私じゃない。
「お、ねぇ、ちゃん……?」
地味で、どんくさくて、ウジウジして、誰からも愛されない、私の1つ上の姉。
―――思い出してしまった。私もいた。姉が、いた。優しくて、病弱で、それでも健気に生きる、強くてカッコいいお姉ちゃんが。
お姉ちゃんの片腕が、燃えている。
どうして、燃えているの?
答えは1つ。
これは、あやかしの炎。
私は、そのあやかしの花嫁。
この世界は、私の前世住んでいた世界とは全く違う。
やめて
お姉ちゃんを、傷付けないで。
私のせいで
「―――……やめなさい、瑶太!!」
そう声を張り上げた瞬間
炎が、消えた。
お姉ちゃんを包んでいたあやかしの炎が、消えた。
命までは奪うつもりは…否、違う。
この世界は、あやかしと人間が共存している。
私は、あやかしに選ばれた花嫁。
……花嫁の為なら何でもするのが、あやかし。
あぁ、だけど……
「……あ……お、お姉ちゃん……?」
お姉ちゃんの片腕
なんて、酷い火傷。
どうして、どうしたら、今すぐ、病院に
「!」
一気に前世の記憶を取り戻したせいで、眩暈を感じてしまった。
私の馬鹿!一番辛いのはお姉ちゃんでしょう!
どうして、私はお姉ちゃんに……あんな酷い事をしてしまったの!?
そんな私を優しく支えるのは……狐のあやかし・狐月瑶太。
私は彼の花嫁。
そして……
姉……柚子お姉ちゃんを燃やした、張本人。
「もう大丈夫だ、花梨。この女のせいで痛い思いをさせてしまったというのに」
「ち、違……お姉ちゃ……」
「花梨、お前は優しいな。姉が悪いと言うのに…本当なら、この女にはもっと然るべき報いを受けても良いというのに」
瑶太に睨まれ、お姉ちゃんはビクッ、と震える。
違う、悪いのは私なのに…!
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氷柱(プロフ) - 真理さん» 姉妹の両親に関しては、原作でもスカッとしましたが、あれ以上に色々とやりまくる予定です。もう本当許せませんもん。しかし瑶太に関しては賛否両論覚悟ですが、救済措置を与えようか考えています。まぁこの後ドキツイお仕置きを受けて痛い思いをさせるのは確定ですが。 (12月6日 23時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» スカッととクズ共(両親と瑶太)地獄落ちの末路、期待していますよ(ニヤリ) (12月6日 21時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» コメント有難うございます。原作でも、家族の縁を切ったにも関わらず柚子に迫りましたからね…ある意味どんな幽霊や妖怪よりも恐ろしい人間です。 (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - シャリファさん» 勿論瑶太は色々とやらかしてますが、更に原作と違って、玲夜の花嫁だと知った上で柚子を害そうとしましたから、それはもう恐ろしいなんてものじゃないですね… (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - こんな奴らと、早く縁を切ってほしいね。 (12月5日 20時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年7月30日 0時