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「あの子は花梨に手を上げたんですよ」
お母さんの言葉に、私はイラッとしてしまう。
「お母さん…!だから、その前に私が…」
お姉ちゃんに酷い事を…と言いかけた所で、お祖母ちゃんがそれを制す。
「花梨から話を聞いたの、あの日の出来事を。そして花梨自身が「悪いのは自分だ」と、柚子だけじゃなくて私にも謝罪をしたわ。それにお祖父さんにも」
「…一応ではあるがな」
転生した私が、原作とは違う行動を取ると、当たり前だけど話は違う展開を迎える。
祖父母が責められるとは思ったけど…そうはならなかった。
「…花梨は「それだけの事をした」と自ら謝罪したの。それはとても勇気がいる事。なのに貴方達はどうなの?親なのに柚子の話だけ聞かないで、あの子だけを悪者にして」
「花梨っ…お前、本当なのか!?柚子に謝罪させられたのか!?」
「花梨になんて酷い事を…!」
お父さんとお母さんの発言に、私は感情が抑えられなくなる。
「いい加減にしてよ。何よ「させられた」って!私、昨日も散々言ったわよね!?私がそもそもお姉ちゃんに……」
ぐいっ、と私は瑶太に引き寄せられる。
ちょっと、瑶太…!
「花梨の祖父母とはいえ気に食わないな。あの女が花梨を叩いたのは事実。何故あの女を庇う?」
「!」
金色の瞳に、一瞬だけ炎の様な揺らめきを感じる。
まさか……!
「……瑶太!」
私が大声で呼ぶと、瑶太は目を閉じ…私を抱き締め直す。
そうだ……ここでは、私は自分の主張が出来ない。思う様な発言が出来ない。
下手な事を言えば、瑶太が祖父母に攻撃しかねないからだ。
「花梨。あの女を無理に庇う事はない。あの女は…然るべき報いを受けた。あれだけでは俺としては気が済まないがな」
あぁ〜、もう、もどかしい〜〜!
何でこの狐、どんだけ花梨至上主義者なの!?いくら花梨を愛してるからって!
会った事ないけど、まだ猫又のあやかしである猫田にゃん吉(…だっけ?)の方が友好的で平和主義者よ!
ふと、リビングの扉に目をやると……あ……!
「……お姉ちゃん!」
「…花梨」
柚子お姉ちゃんがいた。
緊張気味というか、不安気というか……怖くて堪らないのだろう。
当たり前だ。
お姉ちゃんは…今もまだ迷っているのだから。
こんな家族切り捨てて良いのに、それでも迷うなんて……!
だけど…今この時より、もう迷う必要はない。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんだけが、唯一お姉ちゃんの所に向かったのだから。
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氷柱(プロフ) - 真理さん» 姉妹の両親に関しては、原作でもスカッとしましたが、あれ以上に色々とやりまくる予定です。もう本当許せませんもん。しかし瑶太に関しては賛否両論覚悟ですが、救済措置を与えようか考えています。まぁこの後ドキツイお仕置きを受けて痛い思いをさせるのは確定ですが。 (12月6日 23時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» スカッととクズ共(両親と瑶太)地獄落ちの末路、期待していますよ(ニヤリ) (12月6日 21時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» コメント有難うございます。原作でも、家族の縁を切ったにも関わらず柚子に迫りましたからね…ある意味どんな幽霊や妖怪よりも恐ろしい人間です。 (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - シャリファさん» 勿論瑶太は色々とやらかしてますが、更に原作と違って、玲夜の花嫁だと知った上で柚子を害そうとしましたから、それはもう恐ろしいなんてものじゃないですね… (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - こんな奴らと、早く縁を切ってほしいね。 (12月5日 20時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年7月30日 0時